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太陽から地球に到達した紫外線は、大気を進む間に、成層圏オゾン、空気分子、エーロゾル(大気中の浮遊微粒子)、雲などによる吸収や散乱の影響を受けて、しだいに減衰します。そのため、地上での紫外線強度は、上空のオゾン量やエーロゾル量、雲の状態により変化するとともに、大気の通過距離を決める太陽高度角や標高によっても変化します。
下の図は、札幌市と那覇市での日最大UVインデックスの平年値と1年間の毎日の値を示したものです。季節変化や日々大きく変化する様子がわかります。これらの変化は、太陽高度角、オゾン量、雲、エーロゾル量などの要素の変化に伴うものです。以下、これらの要素との関係など、紫外線の特徴を一つ一つ見ていきます。
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札幌市と那覇市の2009年の日最大UVインデックスの推移。
1991〜2009年の日最大UVインデックスの平均値を黒線で示します。
太陽から放射されて地上に達する紫外線の量は、太陽高度や上空のオゾン量、雲やエーロゾル(大気中の浮遊微粒子)などの影響を受けて変化します。なかでも太陽高度は特に大きく影響し、太陽高度が高いほど紫外線量は一般に多くなります。そのため、オゾン量や雲など、他の条件が同じなら、紫外線量は1日の中では正午頃、1年の中では夏至前後に最大となり、また国内では南の地方ほど多くなります。冬から夏に向かって日中の太陽高度が高くなるにつれ、UVインデックスが徐々に大きくなり、5月以降、関東地方はUVインデックスが8を超える日が増えてきます。
1日中快晴であった日の毎時のUVインデックスを、地上に届く日射エネルギーの合計量である全天日射量の日変化とともに示したのが下の図です。これを見ると、太陽高度の変化に対応して、ともに昼前後に最大になっているものの、全天日射量が朝から昼に向かってなだらかに増えていくのに比べ、UVインデックスは昼に近い時間帯に急激に大きくなっています。UVインデックスと全天日射量がこのように異なる変化を示すのは、日射全体の中で、紫外線は地上に達するまでに通過する大気の距離が長いときほど、オゾンによる吸収や空気分子による散乱などで大きく減衰するからです。このような紫外線の性質をふまえて、季節や時刻を考慮した紫外線対策を行うことが必要です。
* 1日の中で太陽高度が最大となる時刻は、兵庫県明石市では12時頃ですが、これより東の地方ほど早く、西の地方ほど遅くなります。季節により変化しますが、通常札幌市では、11時35分頃、那覇市では12時30分頃です。
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つくば市(高層気象台)の2001年7月12日の毎時のUVインデックスを太線で示します。 |
オゾンは紫外線を吸収する性質があるため、上空のオゾン量が少なくなると、地上に到達する有害紫外線は多くなります。上空のオゾン量は、日々変化すると共に明瞭な季節変化をします。それに伴って、地上のUVインデックスも変化します。
下左図に、つくば市で観測されたオゾン量とそれをもとに推定された晴天時のUVインデックスの日々の変化を示します。日々のオゾン量の変化に対応して、UVインデックスが大きく変化していることがわかります。
オゾン量の変化により、数日でUVインデックスが2以上変化することがあります。
下右図につくば市で観測された全天日射量、UVインデックス及びオゾン量の季節変化を示します。オゾン量は春に最大になり、その後徐々に減少して秋に最小となります。全天日射量は5月に最大となっていますが、UVインデックスはオゾン量の季節変化の影響を受け、全天日射量のピークよりも遅れて8月に最大値が現れています。
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つくば市(高層気象台)の日々のオゾン全量及びそのオゾン全量をもとに推定した晴天時のUVインデックスの変化(2002年)。 |
つくば市(高層気象台)の全天日射量及び日最大UVインデックスの1990〜2009年の月平均値の季節変化。 |
雲は太陽光を遮るため、雲量や雲の状態、つまり天気の変化も有害紫外線量に大きな影響を与えます。天気がUVインデックスに与える平均的な影響を下図に示します。ここでは快晴の日のUVインデックスを基準とし、天気毎のUVインデックスの相対的な割合を示しています。晴れであれば、UVインデックスは、快晴の場合とほとんど同じです。また、ほぼ全天を雲が覆っていても、薄曇りの場合は、快晴時の約8〜9割のUVインデックスとなりますが、曇りの場合は、快晴時の約6割となります。さらに、雨が降っている場合には、快晴時の約3割まで減ります。これらの値は、天気を見て、紫外線の強さの度合いを見積もる上でおおよその目安になります。なお、雲の状態によっては、雲が比較的多くても日射しを受けていれば、快晴の場合よりも大きいUVインデックスとなることもあります。
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快晴時のUVインデックスを1とした場合の天気毎のUVインデックスの割合。 |
エーロゾルとは大気中に浮遊する固体または液体の微粒子のことで、大気汚染物質等を起源とする硫酸エーロゾル、海水が風で巻上がってできる海塩粒子、化石燃料等の燃焼によるすすなどがあります。黄砂もエーロゾルの一種です。ほとんどのエーロゾルは地上から高度数kmの間に存在します。エーロゾルの量が多いと、一般的に視程が悪くなる傾向があります。エーロゾルは太陽光を散乱、吸収するため、地上に到達する有害紫外線量を減少させます。
下図につくば市で快晴時に観測されたUVインデックスの日変化と、大気中にエーロゾルが存在しないと仮定して計算したUVインデックスの日変化を示します。この日に観測されたUVインデックスは、エーロゾルがないとした場合に比べ、約2割小さくなることがわかります。この日は普段より比較的エーロゾルが多い日でしたが、典型的な黄砂などもっとエーロゾル量が多い場合には、UVインデックスはさらに小さくなります。
エーロゾル量の日々の変化によってUVインデックスは1〜2割変化します。台風の通過後など空気の澄み切った日には、エーロゾルの量が少なくなりUVインデックスが大きくなるので注意が必要です。また、南西諸島などを中心に海洋性気団に安定しておおわれる夏はエーロゾルが少なく、紫外線は強くなる傾向があります。
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つくば市(高層気象台)で2004年7月7日に観測された毎時のUVインデックスを太線で、同日のエーロゾルが全くないと仮定した場合のUVインデックスの推定値を細線で示します。 |
太陽から地上に達する光には、直射光と散乱光があります。直射光とは太陽から直接地上に達する光のことです。散乱光とは太陽からやってきた光が窒素・酸素などの空気分子やエーロゾル粒子(固体または液体の微粒子)にあたり、その進行方向が変化し地上に達する光のことです。下左図のように散乱光は分子や粒子の四方に広がります。光が空気分子により散乱する場合は、光の波長が短いほど散乱しやすくなる性質があります。晴天時の空が青く見えたり、宇宙船から見た地球が青いのは、可視光の中で波長の短い青色の光が強く散乱されるからです。紫外線は可視光よりも波長が短いために、より散乱されやすくなります。
下右図は本州付近の夏の晴天時のUVインデックスの日変化を、直射光と散乱光に分けて示したものです。地上に達する紫外線の中で、散乱光の寄与が直射光より大きいことが分かります。日傘や帽子で日射しをさえぎったり日陰にいても、空が見える所では目で感じる以上に紫外線を浴びることになるので注意が必要です。
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地上に達する紫外線には、太陽から直接届く紫外線の他に空気分子やエーロゾル粒子に散乱されて届く紫外線があります。 |
本州の夏の晴天時のUVインデックスの日変化の例。地上に到達する紫外線の総量を太線で、そのうちの直射光によるものを細線で示します。 |
屋外にいる人は、上空から地上に向かう紫外線(太陽からの直射光と大気で散乱された光をあわせたもの)を浴びるだけでなく、地表面で反射された紫外線も浴びています。UVインデックスはこのうち上空から地上に向かう紫外線の強度を示したものです。UVインデックスを利用する際に、実際に浴びる紫外線量には紫外線が地表面で反射される効果も含まれていることを考慮に入れる必要があります。
地表面での紫外線の反射の割合は、地表面の状態により下右表の様に大きく異なります。草地やアスファルトの反射率は10%もしくはそれ以下ですが、砂浜では25%、新雪では80%にも達します。さらに、地表面で反射された紫外線の一部は上空に向かい、大気等で再び散乱されて地上に向かいます。つまり地表面の反射率が大きいところでは、反射率が小さいところより散乱光も強くなっています。例えば、南極のように一面雪原の場合には、上空からの紫外線量(UVインデックス)は、反射と散乱の効果により雪がないと仮定した場合と比較して4〜5割ほど増加することが分かっています。
上空からの紫外線に対して帽子や日傘の利用は有効ですが、地表面から反射してくる紫外線についても忘れずに、総合的な紫外線対策をとることが大事です。
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紫外線には、太陽から直接届く紫外線や空気分子やエーロゾル粒子に散乱されて届く紫外線の他に地表面で反射される紫外線があります。 |
地上に達する紫外線は、地表面によって反射されます。地表面の状態によって反射率は大きく異なります。 |
紫外線は、上空から地上に到達する間に、空気分子やエーロゾルにより散乱され、その強度は弱くなります。
標高が高いと、その地点から上空の大気の量は少ないので、紫外線は散乱を受けにくくなり、その地点で受ける紫外線は強くなります(下左図参照)。
また、標高が高いと、大気を通過する際のオゾンによる吸収も少なくなり、紫外線は強くなります。
一般的には、UVインデックスは標高が1000m高くなると約10%増加するとされています。
下右図に、4月の正午頃のUVインデックス(推定値)の分布を示します。
UVインデックスは、通常、北から南に行くほど大きくなりますが、標高の高い地域では同緯度の低地に比べUVインデックスの値が高くなっていることがわかります。
山頂で大気が非常に澄んでいる場合などには、先に示した割合以上に紫外線は強くなることがあります。
例えば、ドイツでは1000m当たり50%以上も増加したとの観測結果があります。
登山など標高の高い場所に出かける際には、山麓に比べて多くの紫外線を浴びるので、UVインデックスに応じた紫外線対策をとるようにしましょう。
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標高が高いと、上空の大気の量が少なく、紫外線が散乱される割合は小さくなります。 |
4月の正午頃の晴天時UVインデックス(推定値)。エーロゾル量は一定と仮定しています。地形は20km四方の平均的な標高を用いています。本州中部の標高の高い地域では、UVインデックスの値が高くなっています。 |
太陽から放射されて地上に達する紫外線の量は、上空のオゾンによる吸収、空気分子による散乱、エーロゾルによる散乱・吸収、地表面の反射などの影響を受けて変化します。これらの影響を考慮して推定した晴天時の紫外線量に、天気による影響を加えると、全国の紫外線量の分布を精度良く推定することができます。
下の図は、1997〜2009年の3月と8月について毎日12時のUVインデックスを算出し、月平均した分布図です。
3月(下左図)のUVインデックスの値は、北海道や東北の一部では特に紫外線対策のいらない「弱い」に相当しますが、南西諸島の一部では、日陰を利用したほうがよい「強い」に相当しています。
また、8月(下右図)は、九州から南西諸島にかけて、一部でUVインデックスが8〜9に達するなど、外出を控えるよう勧められる「非常に強い」となっています。北海道や東北でも、UVインデックスの値は4以上となっており、紫外線対策が必要であることがわかります。
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3月の正午の日本付近の |
8月の正午の日本付近の |
紫外線による健康被害には、日焼けなど急性のものと、長年にわたる蓄積により皮膚ガンなどの病気になるリスクを高めるといった慢性のものがあります。紫外線には、体内でビタミンDを作るなど良い面もありますが、一方でこうした健康被害をもたらすことをふまえて、子供のときから正しい対策をとることが重要です。UVインデックスは紫外線対策を考える上で有効な指標とみなされています。
一般的に、太陽高度が高いほど紫外線は強くなるので、緯度により紫外線の強さは大きく異なります。下の図に示すように、那覇では1年を通じて紫外線の強い日が見られます。このように紫外線の強い地域でも、推奨されている紫外線対策を行うとともに、外出時間を朝夕の紫外線の弱い時間帯へずらすなど、紫外線の性質をよく知って行動することで、紫外線のリスクを減らすことができます。一方、札幌でも冬を除いて中程度から強いUVインデックスの日が出現しており、緯度の高い地方でも紫外線に対する対策が必要であることがわかります。
気象庁では、UVインデックスの観測値や予測情報などを提供しています。これらの情報を十分に活用して、紫外線による健康被害の予防に役立てることが大切です。
一日のうちの最大のUVインデックスを、大きさ別に3段階に分け、一ヶ月間にそれぞれ出現した頻度を示します(統計期間:1991〜2009年)。 |
紫外線が強い時には、帽子や長袖の衣服を着用するなどの対策が有効です。 |