衛星から観測した2008年の全球のオゾン全量について、参照値(1979〜1992年の平均)からの偏差の年平均値と月別値を図3.1.3.1と図3.1.3.2にそれぞれ示す。2008年の全球のオゾン全量は、ほとんどの地域で参照値より少なかった。特に、南半球中高緯度では年平均で−5%以下となった場所が多かった。北半球でも高緯度では−5%以下となったところが多かった。赤道付近に帯状に参照値よりも多い領域がみられた。

図3.1.3.1 オゾン全量の参照値からの偏差(%)の年平均全球分布(2008年)。米国航空宇宙局(NASA)提供のOMI(オゾン監視装置)データに基づいて作成。
Fig. 3.1.3.1 Global distribution of annual-mean total ozone as deviation from the normals (%) in 2008. This is based on OMI (Ozone Monitoring Instrument) data supplied by NASA.

図3.1.3.2 オゾン全量の月別参照値からの偏差(%)の全球分布(2008年)。米国航空宇宙局(NASA)提供のOMI(オゾン監視装置)データに基づいて作成。
Fig. 3.1.3.2 Global distribution of monthly-mean total ozone as deviation from the normals (%) in 2008. This is based on OMI (Ozone Monitoring Instrument) data supplied by NASA.
赤道域のオゾン全量は、準2年周期振動(QBO)の影響を強く受ける。高度50〜30 hPaより上層で東風、下層で西風の時、赤道付近のオゾン全量が減少する傾向がある。2008年の赤道域のオゾン全量が多かったのはQBOの影響と考えられる。
衛星からの観測に基づくオゾン全量の参照値の分布を図3.1.3.3に示す。オゾン全量は赤道域では少なく、南北両半球とも高緯度で多い。特にオホーツク海上空で最も多くなっている。

図3.1.3.3 TOMSデータに基づいて解析した年平均オゾン全量の全球分布(1979〜1992年平均)。NASA提供のTOMS(オゾン全量マッピング分光計)データによる。
Fig. 3.1.3.3 Global distribution of annual mean total ozone averaged for the period 1979–1992. This is based on TOMS (Total Ozone Mapping Spectrometer) data supplied by NASA.
1979年から2008年までのTOMS及びOMIのデータを用いて、オゾン全量の全球のトレンドの算出を行った。トレンドは、既知の自然変動要因(季節変動、太陽活動、準2年周期振動)の影響を取り除いて求めている。
図3.1.3.4に、地上及び衛星からの観測による月平均オゾン全量の偏差(1970年から1980年の平均値に対する比)の時系列を示す。オゾン全量は1980年代から1990年代前半にかけて大きく減少しており、現在もオゾン全量は少ない状態が続いている。 なお、2008年の衛星データ(OMI)は、米国航空宇宙局(NASA)による算出アルゴリズムの変更によって地上観測よりも低い値となっている。
図3.1.3.5に、TOMS及びOMIのデータに基づいて解析したオゾン全量長期変化傾向の全球分布を示す。EESCフィッティングを適用し、1979年を基準とした2008年オゾン全量の比(%)を示している。なお、2008年の衛星データ(OMI)は、地上観測のデータと比べて低いため、長期変化傾向の算出には利用していない。
オゾン全量の長期変化傾向は、主に緯度帯によって異なり、さらに同じ緯度帯でも場所によって異なっている。北半球ではヨーロッパ北部から西シベリアにかけてのオゾンの減少が大きい。南半球では南米南方からアフリカ南方上空にかけて減少が大きく、オーストラリア南方から南太平洋上空ではそれと比較して減少率が小さい。

図3.1.3.4 地上及び衛星からの観測による月平均オゾン全量の偏差(%)の時系列。実線(緑)は世界の地上観測によるオゾン全量の偏差(1970年から1980年の平均値に対する比)。●印はTOMS及びOMIの観測データ(北緯70度〜南緯70度)による月平均オゾン全量の偏差。季節変動、太陽活動、QBOの影響を除去。
Fig. 3.1.3.4 Time series of total ozone anomalies as deviation (in %) from the averages for the period 1970–1980. Closed circles indicate satellite data (70°N–70°S). Influences of known periodical natural variations (i.e., solar, volcanic and QBO) are subtracted.

図3.1.3.5 オゾン全量長期変化傾向(2008年オゾン全量の1979年比(%))の全球分布。TOMS及びOMIのデータに対してEESCフィッティングを行っている。
Fig. 3.1.3.5 Global distribution of trends of the total ozone. The trends were estimated from the EESC (Equivalent Effective Stratospheric Chlorine) curve fitting TOMS and OMI data, and expressed as a ratio (%) of the value in 2008 to that in 1979 on the curve. Satellite data of TOMS and OMI were supplied by NASA.
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