日射観測の基準となる日射スケールは、古くは、オングストローム直達日射計を基準にしたオングストローム日射スケール(欧州)と流水式直達日射計と銀盤式日射計を基準にしたスミソニアン日射スケール(米国)が存在していたが、両基準器を比較したところ基準器の構造上の違いによる系統的な差が明らかになった。このため、1956年に両者を統一した世界共通の国際日射スケール(IPS-1956)が制定された。さらに、1980年には絶対放射計群で維持される世界放射基準(World Radiometric Reference: WRR)を採用することがWMOにより決定された(高層気象台, 1996)。
日本では、日射観測の開始以来長くスミソニアン日射スケールを用いていたが、1957年から国際日射スケールIPS-1956を採用し、また1981年からは世界放射基準を採用している。
日射観測の基準を維持・管理し、全球的に均質で精度の高い直達日射観測データを得る目的で、スイスにWMO世界放射センター(スイス・ダボス物理気象観測所)が設立され、1971年に図9.5.1に示す直達日射計の較正体系が確立された。日射観測の基準(WRR)は、世界放射センターが維持している世界基準器群によって決定している。この世界放射基準は、5年ごとに各地区放射センターや各国の基準器を較正する国際日射計比較観測によって、各々の測器に伝達され、日射観測の精度が世界的に均質に保たれている。
気象庁は、1965年に開催されたWMO第U地区(アジア)第4回会議において、WMO第U地区(アジア)放射センターに指名された。気象庁は、1970年から世界放射センターで5年ごとに開催される世界基準器群との比較観測に参加し、地区基準器群の維持・管理に努めるとともに、第U地区内の各国の国家基準器との相互比較観測を実施し、地区内日射観測の精度維持に貢献している(第9.5節参照)。
また、日本の地区放射センターは国家放射センターの役割も担っており、日本国内で使用される直達日射計の較正も担当している。気象庁において観測に使用している直達日射計については、国家基準器との比較観測、温度変化に対する出力の線形性の検査(特性検査)からなる検査を5年ごとに実施し、精度を維持している。

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図 7.3.9.1 世界基準器群(絶対放射計)。 |
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表7.3.9.1 国際日射計比較観測履歴。 |
| 実施年 Year | 実施場所 Venue | |
|---|---|---|
| 1 | 1959 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 2 | 1964 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 3 | 1970 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 4 | 1975 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 5 | 1980 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 6 | 1985 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 7 | 1990 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 8 | 1995 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 9 | 2000 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 10 | 2005 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
| 11 | 2010 | スイス・ダボス Davos, Switzerland |
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図 7.3.9.2 国際日射計比較観測風景(IPC-XI) |

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図 7.3.9.3 国際日射計比較観測風景(IPC-XI) |
直達日射の観測地点 | 観測方法(直達日射) | 参考文献