オゾン全量観測に関する較正

7.3.6 オゾン全量観測に関する較正

 第9.4節で述べるように、気象庁はアジア地区のドブソン分光光度計によるオゾン全量観測について、WMOの較正センター業務を行っている。そのため高層気象台(つくば)においてドブソン分光光度計のアジア地区の地区準器を所有し、その維持・管理を行っている。この地区準器は、アジア地区のオゾン観測網の観測データの精度維持のためほぼ3年に一度米国海洋大気庁(NOAA)が保有しているWMOの世界準器と比較観測を実施している。世界準器自身の較正はハワイ・マウナロア観測所においてラングレー法を用いた絶対検定により行われている。表7.3.6.1に、地区準器と世界準器との相互比較観測の履歴を示す。最近の相互比較観測は2010年に米国・マウナロアで実施した。その際の地区準器の観測精度は、オゾン全量値で世界準器との差は平均して0.1%以下であり、前回の国際比較以後3年間の観測データについては、補正処理なしで使用できることが確認された。

表7.3.6.1 アジア地区準器のドブソン分光光度計の国際相互比較の履歴。
Table 7.3.6.1 Dobson spectrophotometer intercomparison for regional standards.

実施年
Year
実施場所
Venue
1977米国・ボールダー Boulder, USA
1984オーストラリア・メルボルン Melbourne, Australia
1989米国・マウナロア Mauna Loa, USA
1992米国・ボールダー Boulder, USA
1995スイス・アローザ Arosa, Switzerland
1998米国・ボールダー Boulder, USA
2001米国・マウナロア Mauna Loa, USA
2004米国・ボールダー Boulder, USA
2007米国・ボールダー Boulder, USA
2010米国・マウナロア Mauna Loa, USA

 また、高層気象台を除く国内3観測所のドブソン分光光度計については、ほぼ3年に一度、アジア地区準器と比較較正を行った移動準器との比較観測を実施し、観測精度の維持を図っている。表7.3.6.2に国内3観測所のドブソン分光光度計について、最近実施された比較観測の年月を示す。

表7.3.6.2 国内各オゾン観測地点のドブソン分光光度計の最近の比較観測履歴。
Table 7.3.6.2 Dobson spectrophotometer comparison for the Japanese network.

観測所
Station
札幌
Sapporo
鹿児島
Kagoshima
那覇
Naha
比較観測
実施年月
Time of
Comparison
1994年9月  September 1994
1997年7月  July 1997
1998年4月  April 1998
2000年10月 October 2000
2003年9月  September 2003
2006年10月 October 2006
2009年7月  July 2009
1995年10月 October 1995
1998年8月  August 1998
2001年11月 November 2001
2004年7月  July 2004
2005年5月  May 2005
(2005年3月 観測終了
Observation terminated in March 2005.)
1994年3月  March 1994
1996年10月 October 1996
1999年11月 November 1999
2002年10月 October 2002
2005年7月  July 2005
2008年10月 October 2008

 各実施観測所では測器の精度維持のため定期的に下記の各種ランプ点検を実施している。なお、これらの点検の詳細については、「オゾン観測指針(オゾン全量・反転観測編)」(気象庁, 1991)に示されている。

(1)標準ランプ点検
標準ランプ点検は週1回実施し、測器の較正基準を一定に保つためのオゾン全量の補正値を決定する。
(2)水銀ランプ波長点検
水銀ランプ波長点検は月1回実施し、測器の測定波長の状態を確認する。
(3)2ランプ点検
2ランプ点検は各波長組について年3回程度実施し、2波長の強度比を調整する光学くさびの濃度勾配が適正に保たれているか否かを確認する。

 南極昭和基地のドブソン分光光度計については、高層気象台のアジア地区準器で比較較正を行った測器を通常3年ごとに持ち込んで観測に使用している。3年以上継続して同一測器で観測を行う場合には、高層気象台で比較較正を行った測器を昭和基地に持ち込み、観測に使用している測器との比較観測を実施することにより、精度の維持を図っている。また、国内観測所と同様な各種点検を行っている。
 南鳥島のブリューワー分光光度計については、年1回高層気象台で比較較正した測器を持ち込んで比較観測を実施し、観測精度の維持を図っている。


内容構成一覧

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