地上オゾン濃度の観測では、紫外線がオゾンに吸収される性質を利用した紫外線吸収式オゾン濃度計を用いている。各観測所で使用している測定器の型式を表7.1.1.2、表7.1.1.3、表7.1.1.4及び表7.1.1.5に示し、観測装置の外観を図7.2.6.1に示す。
大気試料は、国内3地点では観測室屋上(地上からの高さは綾里及び南鳥島:8m、与那国島:10m)の、南極昭和基地では清浄大気観測室(地上からの高さ4m)の専用取入口から毎分10リットルの流量で採取されており、このうち毎分1.5リットルをオゾン濃度計へ分岐している。配管には全て、その表面でオゾンが破壊されにくいテフロン管を用いている。南極昭和基地では2008年5月に、気象棟付近の施設から基地主要部から東に約300m離れた清浄大気観測室へ観測場所を変更したことに伴い、大気試料取入口の地上からの高さがそれまでの約5mから4mと変更された。観測に使用するオゾン濃度計は、気象庁地球環境・海洋部環境気象管理官にある基準のオゾンガス発生器により較正されている(第7.3.5節参照)。
観測は、較正済みオゾン濃度計を組み込んだ観測装置を用いて、綾里及び与那国島では10秒ごと、南鳥島では15秒ごと、昭和基地では12秒ごとに実施される。
これらの観測値は、環境気象管理官において品質管理後に統計処理される。時別値は、測器の点検、故障時等を除いた全観測値を用いて算出され、観測値が半数以上ある場合の時別値をもとに日別値及び月別値を算出している。地上オゾンの観測値には接地境界層内の局地的な変動が含まれていると考えられるが、光化学的な生成・消滅や地面との接触による消滅によって大気中で常に変動するのがオゾンの本来の性質であるため、日別値、月別値を求める際にバックグランドデータの選別を行わない。
|
図 7.2.6.1 地上オゾン観測装置(与那国島)。 |
図7.2.6.2〜7.2.6.5は、それぞれ綾里、南鳥島、与那国島及び昭和基地で観測された2009年の地上オゾン濃度時別値の時系列図である。地上付近の気象状態によっては、地面との接触などによってオゾンが急速に壊された大気が滞留することがあり、濃度が急減することがある。この急減は、日射などによって対流が生じることにより数時間で解消されることが多い。昭和基地では、国内観測所での時別値の変動に比べると、非常に安定した濃度変動を示す(図7.2.6.5)。この中で、極夜明けに短時間の濃度減少がみられることがある。この原因については、成層圏でのオゾン層破壊と同様の、臭素化合物によるオゾン破壊反応と考えられる(詳しくは「対流圏オゾンに関連する最近の知見」の項を参照)。短期間の低濃度オゾンが観測される時の空気塊は、臭素の発生源である南極大陸周辺の海洋域から輸送されてきていると考えられる。
|
図 7.2.6.2 綾里における地上オゾン濃度時別値の時系列図(2009年)。 |
|
図 7.2.6.3 南鳥島における地上オゾン濃度時別値の時系列図(2009年)。 |
|
図 7.2.6.4 与那国島における地上オゾン濃度時別値の時系列図(2009年)。 |
|
図 7.2.6.5 昭和基地における地上オゾン濃度時別値の時系列図(2009年)。 |
温室効果ガスなどのGAW観測所 | 綾里 | 南鳥島 | 与那国島 | 昭和(南極) | 較正(地上オゾン) | 参考文献
日本における地上オゾン濃度 | オゾンゾンデによる対流圏オゾン鉛直分布 | 昭和基地における地上オゾン濃度