直達日射量とは、太陽光線の入射方向に垂直な面で受けた日射量である。1932年に直達日射観測を開始した当時は銀盤式日射計を用いていた。銀盤式日射計は精度が良く安定性に優れており、その蓄積されたデータには高い信頼性がある(関根ほか, 1973)が、観測は手作業であり、また連続観測ができないという欠点があった。銀盤式日射計は、1978年から直達電気式日射計を赤道儀に搭載した装置に順次切り替えられ、直達日射量の連続観測が可能となった。さらに1992年からは自動太陽追尾装置に直達電気式日射計を搭載し、完全な自動観測が開始された。観測装置の概観を図7.2.14.1に示す。
なお、2010年3月31日から国内5地点(札幌、つくば(館野)、福岡、石垣島、南鳥島)において、精密日射放射観測装置を用いて直達日射量に加えて散乱日射量(水平面で受ける太陽方向以外からの日射量)及び下向き赤外放射量(大気の赤外放射量)の観測を開始した。
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図 7.2.14.1 直達日射観測装置。 |
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図 7.2.14.2 精密日射放射観測装置。 |
大気混濁係数には様々な定義があるが、気象庁ではホイスナー・デュボアの混濁係数を算出している。大気混濁係数の算出には、地方真太陽時の9時、12時、15時の各正時をはさむ前後30分間の中で太陽方向に雲がない時間帯の直達日射量瞬間値を使用する。
波長
における、単位波長あたりの直達日射量は、大気路程と光学的厚さが増加すると指数関数的に減少する。地上に到達する波長
の単位波長あたりの直達日射量
は、Beerの法則により、次式で表される。
(1)
ただし、
は波長
における単位波長あたりの大気外日射量、
は大気路程が1であるときの大気の光学的厚さ(垂直気柱についての直達日射の減衰係数)、
は大気路程(日射が通過する大気層の厚さ。鉛直方向の気層の厚さを1とする)である。
Beerの法則は、単一波長の日射に関する法則であり
及び
は波長に依存している。一方、気象庁が行っている直達日射観測は、約0.3〜3.0 µm の波長帯を対象としているが、波長積分した場合にも近似的に上式が成り立つとして、次のとおり大気混濁係数を求める。
(1)式を波長積分して、直達日射量に対する減衰の式を次式であらわす。
(2)
(2)式の
は、日射減衰量にかかわる要素に分けて次式で表される。
(3)
ここで、
は標準気圧における水蒸気・オゾン・二酸化炭素・エーロゾルなどを含まない仮想的な大気での大気路程1のときのレイリー散乱による光学的厚さの波長平均値、
は、気圧
における大気路程1の時の気体(水蒸気・オゾン・二酸化炭素など)の吸収による光学的厚さの波長平均値、
は気圧
における大気路程1のときのエーロゾルの散乱及び吸収による光学的厚さの波長平均値、
は観測時の現地気圧、
は標準気圧である。
(3)式を(2)式に代入すると、
(4)
さらに、リンケの混濁係数を
とすると(4)式は
(5)
となり、リンケの混濁係数を求める式は次式で表される。
(6)
リンケの混濁係数は、水蒸気・オゾン・二酸化炭素・エーロゾルなどを含む現実的な大気の光学的厚さが、空気分子のみが存在するとした仮想的な大気(レイリー大気)の光学的厚さの何倍かをあらわす量である。
を求めるために必要な
は、絶対大気路程
の関数として与えられるため、
が等しくとも、気圧が異なる場合、観測値を相互比較することができない。このため、ホイスナー・デュボアは
を、標準気圧で更正することを提案した。
ホイスナー・デュボアの混濁係数
は、次式で表される。
(7)
ここで、
は標準気圧における水蒸気・オゾン・二酸化炭素・エーロゾルなどを含まない仮想的な大気での大気路程
のときのレイリー散乱による光学的厚さの波長平均値である。