観測種目及び観測方法は以下のとおりである(第7.4節に詳しく示す)。
2009年に観測した浮遊タールボールの分布を図6.1.1に示す。浮遊タールボールは、その重量をネット開口部が通過した面積で除して、タールボール密度(mg/m2)とし、観測を実施した位置、日時等とともに記録する(タールボールが採取されない場合は「なし」という記録を残す)。2009年は、観測した全ての海域でタールボールは採取されず、図には観測位置のみ+で示す。
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図6.1.1 浮遊タールボールの分布図(2009年)。(a)冬季、(b)春季、(c)夏季、(d)秋季。 |
1978〜2009年の日本周辺海域及び東経137度線における浮遊タールボールの経年変化を図6.1.2に示す。また、浮遊タールボールの経年変化の調査海域区分を図6.1.3に示す。タールボールは1990年代半ばまではしばしば日本周辺海域で採取されたが、1996年以降は北西太平洋全般で採取されることはまれになっている。
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図6.1.2 浮遊タールボールの経年変化(1978〜2009年)。海域区分は図6.1.3による。 |
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図6.1.3 浮遊タールボール及び浮遊汚染物質の経年変化調査海域。(A):日本周辺海域、(B):東経137度線。 |
1980年代の初めまでは、日本周辺海域及び東経137度線の北緯20〜30度でタールボールが多く採取され、1979年には海域平均で 0.6 mg/m2を上回っていた。しかし、マルポール条約の付属書Iに基づいて船舶からの油類の排出が規制された1983年以降、タールボール密度は大幅に減少した。日本周辺海域では、1978〜1982年の5年平均が 0.29 mg/m2であったのに対し、規制処置後の1984〜1988年の5年平均は 0.08 mg/m2になっている。また、東経137度線の北緯20〜30度では、1984年以降タールボールはまれにしか採取されていない。
2009年のプラスチックなどの浮遊汚染物質の分布を図6.1.4に示す。図には、航走100 kmあたりの浮遊汚染物質の観測個数を、各観測日の正午位置に黒丸の大きさ(観測されない時は+)で示してある。2009年は、日本周辺海域で夏季及び秋季に50個/100kmを超える浮遊汚染物質が観測された。また、東経137度線の北緯0〜20度では、過去に5個/100kmを超えるような汚染浮遊物質が観測されることは少なかったが、2009年夏季には赤道付近の海域で10個/100kmを超える浮遊汚染物質が観測された。
海面油膜は、2009年には観測されなかった。
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図6.1.4 プラスチックなどの浮遊汚染物質の分布図(2009年)。(a)冬季、(b)春季、(c)夏季、(d)秋季。 |
1977〜2009年の日本周辺海域及び東経137度線における航走100 kmあたりの浮遊汚染物質の観測個数の経年変化を図6.1.5に示す。浮遊汚染物質の経年変化の調査海域は、図6.1.3に示した浮遊タールボールと同様である。日本周辺海域の値は、緯度5度、経度5度の格子10個分の年平均であり、東経137度線の値はこの観測線に沿った年平均である。東経137度線は、北緯0〜20度及び北緯20〜30度に分けて示している。
2009年の浮遊汚染物質は、日本周辺海域で7.6個/100km、東経137度線の北緯20〜30度で1.6個/100km、東経137度線の北緯0〜20度で1.8個/100kmであった。
浮遊汚染物質の観測個数は、日本周辺海域では1989年をピークとして、2000年頃までは漸減傾向であった。2000年代に入ってからは増加傾向にあり、2009年は2004〜2007年の水準であった。
一方、東経137度線では、大きな変化傾向は見られない。なお、北緯0〜20度の海域では、2008年に観測個数が多かったが、2009年には元の水準に戻っている。2008年に大きな増加となったのは、夏季に一部の地点において大量の浮遊汚染物質が集中的に発見されたことに起因するものであり、海域全体の傾向を代表するものではないと考えられる。
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図6.1.5 プラスチックなどの浮遊汚染物質の観測個数の経年変化(1977〜2009年)。海域区分は図6.1.3による。 |
浮遊汚染物質の発見個数の経年変化を海域別に見ると、日本周辺海域では1989年がピークで、その後漸減傾向となった。1988年は、マルポール条約の付属書Vにより船舶からのプラスチック類の排出規制処置が定められ、海洋汚染防止法が改正された年にあたっており、この海域においては規制の効果が認められる。
1981〜2000年の20年間の浮遊汚染物質の平均分布を図6.1.6に示す。浮遊汚染物質は、日本周辺海域で多く、北緯20度以南や千島の東海域で少ない。黒潮続流の南側にあたる東経150度以東の北緯30度付近の海域は、同じ経度の高緯度及び低緯度と比較して浮遊汚染物質が多い傾向にあり、外洋の浮遊汚染物質の分布に海流系が影響していることが示唆される。
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図6.1.6 プラスチックなどの浮遊汚染物質の20年平均分布図(1981〜2000年、緯度・経度5度ごと)。 |