日射量に関する最近の知見と話題
このページでは下記の項目を紹介する。
- 地球の暗化と明化
- 直達日射観測によるエーロゾルの影響評価
地球の暗化と明化
1960年以降、工場地帯だけでなく、マウナロアや北極・南極のような清浄な環境を含めた世界的な多くの地域で地表における日射の減少が観測された。この現象は地球の暗化(Global Dimming)と呼ばれている。1961年から1990年までの日射の減少は、全球の地表において30年で4%(7 W/m2)に達すると見積もられている(Liepert, 2002)。この原因は人間活動からのエーロゾルとエーロゾル前駆物質の放出増加が、エーロゾルと雲の光学的厚さを増加させたためと考えられている。
地上の日射のこの減少にもかかわらず、陸上地表温度は、1961〜1990年間に約0.4K増加した(Jones et al., 1999)。Wild et al.(2004)は、この増加は温室効果ガスの増加では説明できず、地表でのエネルギーバランスから、地表からの水蒸気蒸発量(潜熱)の減少の可能性を指摘している。Roeckner et al.(1999)とLiepert et al.(2004)も、モデル等の解析から、人為起源のエーロゾルによる光学的厚さの増加に起因する地表での日射の減少が、温室効果ガスが引き起こす地表温度の上昇より、地表のエネルギーバランスに対してもっと重要であることを示している。このように、地表における日射の減少は、潜熱フラックス等を通して降水を含めた水循環に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
一方、主として北半球の1990年以降の観測によると、地球の暗化は1990年代まで継続せず、代わりに1980年代末以降、広い範囲で日射の増大が観測されている(Wild et al., 2005 ; Ohmura, 2009)。これは地球の暗化(Global Dimming)に対して地球の明化(Global Brightening)と呼ばれている。
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直達日射観測によるエーロゾルの影響評価
第4.3節に記述するように直達日射量から計算される大気混濁係数は、大気中のエーロゾル、オゾン、二酸化炭素、水蒸気などによる日射の減衰をあらわしており、エーロゾルだけの影響は、そのままではわからない。しかし、直達日射量に大きな影響を及ぼす水蒸気やオゾンなどの影響を評価できれば、エーロゾルのみの影響を評価することができる。Hashimoto et al.(2006)は、高層気象観測によって得られた可降水量とオゾン観測によって得られたオゾン全量のデータにより水蒸気とオゾンの影響を取り除き、オングストローム指数を仮定することによって、675nmのエーロゾル光学的厚さを算出する方法を開発し、直達日射量からおおよそエーロゾルのみの影響だけを評価することを可能にした。
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内容構成一覧
概要 | 基礎知識 | 参考文献
直達日射積算量 | 日本における大気混濁係数 | 昭和基地における大気混濁係数
直達日射の観測地点 | 観測方法(直達日射) | 較正(直達日射)