太陽からの放射を太陽放射という。日中の地球大気上端の太陽に垂直な面に到達する太陽放射エネルギーは、約1370W/m2であり、全地球で平均するとこの4分の1となる。地球に到達する太陽放射エネルギーのうち約97%を占める波長0.29〜3.0 µmの太陽放射を、日射又は短波長放射という。
日射は、大気中を通過する間に、空気分子やエーロゾル、雲などにより一部が吸収・散乱及び反射される。大気上端に達した日射の約30%に相当するエネルギーが宇宙空間に反射される。この反射の約3分の2は、雲やエーロゾルによるものである。残りの約3分の1は、主に雪、氷、砂漠からなる地球表面の明るい部分での反射である。宇宙空間へ反射されなかったエネルギーは、地球表面と大気に吸収される。
日射は、地球の気象・海象現象を駆動するエネルギー源であり、地表の熱収支・水収支あるいは大気大循環などを解明する上で、大気や地表からの放射量とともに重要な観測要素である(図4.3.1)。
|
図4.3.1 地球の年平均のエネルギーバランス。太陽放射(Incoming Solar Radiation)のうち49%(168Wm-2)は地表で吸収(Absorbed by Surface)される。この熱は顕熱(Thermals)、蒸発散(潜熱)(Evapotranspiration, Latent Heat)、赤外放射(Surface Radiation)として大気に戻される。赤外放射のほとんどは大気(温室効果ガス)により吸収され、再び四方に放射される。IPCC(2007)より。 |
大気中で吸収、散乱、反射されることなく、太陽から直接地上に到達する日射を直達日射という。直達日射量は、太陽に垂直な面で受ける単位面積当たり、単位時間当たりの直達日射エネルギー量として定義されている。
大気混濁係数とは、空気分子のみの仮想的な大気の光学的厚さに対してエーロゾル、オゾン、二酸化炭素、水蒸気などを含んだ実際の大気のそれが何倍になっているかをあらわす指標であり、直達日射量瞬間値から算出する。様々な定義があるが、気象庁ではホイスナー・デュボアの混濁係数を採用している。ホイスナー・デュボアの混濁係数を変動させる要素には、火山噴火などの自然現象や人間活動によって発生するエーロゾル、季節や天候によって変動する水蒸気、オゾンなどがある。ホイスナー・デュボアの混濁係数については第7.2.14節を参照のこと。