気象庁では、GAW計画のもと、綾里、南鳥島、与那国島においてエーロゾル光学的厚さの観測を行っている。これらの観測の結果は、エーロゾル世界資料センターへ報告している。エーロゾル光学的厚さの観測は南極昭和基地でも行われ、地球全体の大気監視の一翼を担っている。また、綾里ではエーロゾル光学的厚さの観測に加え、下部成層圏までのエーロゾル鉛直分布の観測を行っている。さらに、国内4地点(札幌、つくば、福岡、石垣島)と南極昭和基地において行っている直達日射量の観測からもエーロゾルに関連する情報(大気混濁係数)が得られる。
エーロゾル分布は時間や地域による変動が大きく、あらゆる気象現象の源である日射放射に及ぼす影響を完全に把握することは難しい。しかし、これら複数の観測手法を用いて、エーロゾル分布及び大気混濁係数を長期にわたって監視することにより、気候変動の要因の解明に貢献している。
エーロゾル光学的厚さの観測方法については第7.2.11節を、エーロゾル鉛直分布の観測方法については第7.2.12節を、大気混濁係数の算出方法については、第7.2.14節をそれぞれ参照されたい。
エーロゾルによる大気全層の濁り具合(大気混濁度)は、サンフォトメータを用いて測定される「エーロゾル光学的厚さ」で表される。太陽光は、エーロゾルによって散乱され、減衰して地表に届く。エーロゾルによる太陽光の散乱の程度は、大気中に存在するエーロゾルの大きさ・量と光の波長によって決まるという原理から、散乱されずに地表に届く異なる波長の太陽光の強さを測定することにより、大気中に存在するエーロゾルの量に関する情報「エーロゾル光学的厚さ」と粒径の大きなエーロゾルと小さなエーロゾルの相対的な割合に関する情報「オングストローム指数」を得ることができる(詳細は第7.2.11節を参照)。
地球温暖化予測の不確実性の要因の一つとなっているエーロゾルについて、その光学特性、分布や変動を把握することが重要である。しかし、エーロゾル鉛直分布の定常的な観測は限られており、その実態の解明が求められている。これらの要請に応えるべく、気象庁では2002年3月から岩手県大船渡市三陸町綾里の大気環境観測所においてライダー(レーザーレーダー)を用いたエーロゾル鉛直分布の観測を開始した。
ライダーとは、パルス状のレーザー光を上空に向けて射出し、大気分子や雲、エーロゾルなどの物質によって後方に散乱されたレーザー光を望遠鏡で集光・検出する装置である。発射されたレーザー光が大気中のエーロゾルにより散乱されて望遠鏡に戻るまでの時間からエーロゾルが存在する高度を求め、受信された散乱光の強度からエーロゾル濃度の指標となる「散乱比」やエーロゾルにより光が減衰する割合を表す「エーロゾル消散係数」を求める。さらに、エーロゾルにより散乱されたレーザー光の偏光の変化からは、エーロゾルの形状についての指標となる「偏光解消度」を求めることができる。偏光解消度は、値が小さければそのエーロゾルの粒子が硫酸塩エーロゾルのように比較的球形であることを示す。値が大きければ、そのエーロゾルの粒子が非球形であることを示しており、氷晶雲や黄砂など固体粒子の種類の特定に利用される(詳細は第7.2.12節を参照)。
日本におけるエーロゾル光学的厚さ | 昭和基地におけるエーロゾル光学的厚さ | エーロゾル鉛直分布
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