エーロゾル及び日射量

4. エーロゾル及び日射量

 大気は、気体成分や雲粒のほか、エーロゾルと呼ばれる固相、液相又はそれらの混合した相の半径1nm(1×10-6mm)程度から10μm(1×10-2mm)程度の浮遊微粒子から構成されている。エーロゾルには、人為起源・自然起源のガスから粒子変換で生成される硫酸塩粒子、海水の波しぶきが大気中で乾燥してできる海塩粒子、黄砂(鉱物粒子)、化石燃料やバイオマスの燃焼によるすす(黒色炭素及び有機炭素)などがある。また、大規模な火山噴火は大量の噴煙や火山ガスを成層圏に持ち込み、成層圏で大量のエーロゾルが滞留する原因となる。
 エーロゾルの気候への直接的な効果としては、(1)日射を散乱・吸収することにより地上に到達する日射量を減少させ気温を低下させる日傘効果と(2)地球からの赤外放射を吸収・再放射するという温室効果がある。また、すすの増加は太陽放射を吸収し大気を暖める。さらに、これらの直接的な効果の他に、雲粒の核として雲の性状(雲粒の数・粒径分布・滞留時間)を変化させることにより、間接的に地球の放射収支を変えるという効果も持っている。これら相反する複数の効果が絡むため、エーロゾルの増減がどの程度気候に影響するかを量的に評価することは難しいが、エーロゾルが増えると地球全体の気温が下がると考えられている。
 黄砂はエーロゾルとして気候に影響を及ぼすだけでなく、北東アジア地域において、社会的に大きな影響を与えている。黄砂現象の影響として、北東アジア地域の発生域周辺では砂塵嵐による農業生産や生活環境への被害が拡大している。例えば中国では、1993年5月の黄砂の砂塵嵐で85名の死者と12万頭の家畜が被害を受け、その総損害額は5.6億元に上っている。また、韓国でも2002年の黄砂現象では精密機械工場が操業停止になるなど社会的に大きな影響が出た。日本では、これまで人的な被害は報告されていないが、視程悪化により交通機関に影響が生じた例がある(黄砂問題検討会, 2005)。さらに、海洋に落下した黄砂粒子に含まれる化学成分は、海洋表層のプランクトンの栄養分となることなどを通して海洋の生態にも大きな影響を与えていると考えられている。

参考文献

黄砂問題検討会, 2005: 黄砂問題検討会報告書2005年9月, 102 pp.


内容構成一覧

エーロゾル | 黄砂現象 | 日射量