昭和基地では1991年に紫外線の試験観測を開始し、1994年2月から定常観測に移行した。
図3.2.3.1に1993年から2009年までの紅斑紫外線量日積算値の推移を示す。これによると、紅斑紫外線量日積算値は毎年11月から12月にかけて最大となるが、その最大値は年により大きく異なっており、その年のオゾンホールの規模や消滅時期に大きく左右されているものと考えられる。
2009年の8月から12月にかけての紅斑紫外線量日積算値の推移を、全天日射量日積算値及びオゾン全量の推移とともに図3.2.3.2に示す。紅斑紫外線量日積算値は、10月に参照値より多い時期があり、9月末、11月及び12月中旬は少なかった。オゾン全量の推移をみると、2009年10月には参照値よりも少ない時期があり、9月末、11月、12月前半にはオゾン全量が多かったことから、紅斑紫外線量日積算値の推移は、オゾン全量の変化の影響を受け変動していることがわかる。
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図3.2.3.1 昭和基地における紅斑紫外線量日積算値の推移(1993〜2009年)。 |
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図3.2.3.2 昭和基地における紅斑紫外線量日積算値(赤●印)、オゾン全量(緑○印)及び全天日射量(青点線)の推移(2009年)。赤破線は紅斑紫外線量日積算値の累年平均値の15日移動平均、緑破線はオゾン全量の累年平均値の15日移動平均を示す。ここでの累年平均値は紅斑紫外線量、オゾン全量ともに1993年から2008年までの平均値。 |
紅斑紫外線量が、全天日射量が最大になるよりかなり前の時期に最大となる理由としては、昭和基地上空では11月から12月にかけてはまだオゾンホールが持続しており、早い時期ほどオゾン全量が少ないことが挙げられる。日々の紫外線量は、天気の変化による全天日射量と対応して変動しているが、10月後半から12月初めにかけては、それ以上にオゾン全量の変動の影響を大きく受けて変動している。図3.2.3.2から紫外線量とオゾン全量との逆相関関係がよくわかる。
昭和基地でこれまでに観測された最大の紅斑紫外線量時別値は2006年11月23日に観測された300 mW/m2で、これは国内では九州及び南西諸島における夏季の晴天時の観測値に相当する。また、昭和基地で観測された紅斑紫外線日積算値の最大値は、2006年11月23日の8.66 kJ/m2であり、これまでの国内で観測された最大値7.09 kJ/m2より約20%も大きい。昭和基地は日本国内に比べ高緯度(南緯69度)に位置しており、最大時の太陽高度は国内に比べはるかに低いものの、オゾンホールの影響で上空のオゾン量が少ないこと、地表面が雪氷で覆われ反射率が高いこと、大気が清浄でエーロゾル量が少ないといった要因が重なり合って、紅斑紫外線を強める方向に働いている。さらに夏季期間の白夜のため、昭和基地の夏季の日照時間が国内に比べて長いことも、紅班紫外線量日積算値の最大値が国内よりも大きくなる要因である。