衛星から観測した2009年の世界のオゾン全量について、参照値からの偏差の年平均値と月別値を図3.1.3.1と図3.1.3.2にそれぞれ示す。オゾン全量の長期的な減少がみられなくなった近年の平均的なオゾン全量を比較の基準とするため、参照値の期間を1997〜2006年としている。2009年の世界のオゾン全量は、北半球中高緯度では、年平均でユーラシア大陸北部付近と北大西洋北部で参照値より2.5%以上多く、アラスカ湾付近で2.5%以上少なかった。これらの偏差は、2月と11〜12月の同領域の顕著な月平均偏差を反映している。南半球中高緯度では、南極オゾンホールの期間である10〜11月に南極大陸周辺で顕著な偏差がみられた。また、赤道付近に帯状に参照値よりも2.5%以上少ない領域がみられた。
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図3.1.3.1 世界のオゾン全量偏差(%)の年平均分布図(2009年)。米国航空宇宙局(NASA)提供のOMI(オゾン監視装置)データに基づいて作成。 |
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図3.1.3.2 世界の月平均オゾン全量偏差(%)分布図(2009年)。米国航空宇宙局(NASA)提供のOMI(オゾン監視装置)データに基づいて作成。 |
赤道域のオゾン全量は、準2年周期振動(QBO)の影響を強く受ける。高度50〜30 hPaより上層で東風、下層で西風の時、赤道付近のオゾン全量が減少する傾向がある。2009年の赤道域のオゾン全量が少なかったのはQBOの影響と考えられる。
衛星からの観測に基づくオゾン全量の参照値の分布を図3.1.3.3に示す。オゾン全量は赤道域では少なく、南北両半球とも高緯度で多い。特にオホーツク海上空で最も多くなっている。
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図3.1.3.3 衛星データに基づいて解析した世界の年平均オゾン全量分布(1997〜2006年の平均値)。NASA提供のTOMS(オゾン全量マッピング分光計)データとOMI(オゾン監視装置)データによる。 |
1979年から2009年までのTOMS及びOMIのデータを用いて、オゾン全量の全球のトレンドの算出を行った。トレンドは、既知の自然変動要因(季節変動、太陽活動、準2年周期振動)の影響を取り除いて求めている。
図3.1.3.4に、地上及び衛星からの観測による月平均オゾン全量の偏差(1970年から1980年の平均値に対する比)の時系列を示す。オゾン全量は1980年代から1990年代前半にかけて大きく減少しており、現在もオゾン全量は少ない状態が続いている。 なお、2007年12月以降の衛星データ(OMI)は、米国航空宇宙局(NASA)による算出アルゴリズムの変更によって地上観測よりも低い値となっている。
図3.1.3.5に、TOMS及びOMIのデータに基づいて解析したオゾン全量長期変化傾向の世界分布を示す。EESCフィッティングを適用し、2009年オゾン全量の1979年からの変化の割合(%)を示している。なお、2007年12月以降の衛星データ(OMI)は、地上観測のデータと比べて低いため、長期変化傾向の算出には利用していない。
オゾン全量の長期変化傾向は、主に緯度帯によって異なり、さらに同じ緯度帯でも場所によって異なっている。北半球ではヨーロッパ北部から西シベリアにかけてのオゾンの減少が大きい。南半球では南米南方からアフリカ南方上空にかけて減少が大きく、オーストラリア南方から南太平洋上空ではそれと比較して減少率が小さい。
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図3.1.3.4 地上及び衛星からの観測による月平均オゾン全量の偏差(%)の時系列。実線(緑)は世界の地上観測によるオゾン全量の偏差(%)。●印はTOMS及びOMIの観測データ(北緯70度〜南緯70度)によるオゾン全量の偏差(%)。比較の基準は1970年から1980年の平均値。季節変動、太陽活動、QBOの影響を除去。 |
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図3.1.3.5 世界のオゾン全量長期変化傾向(2009年オゾン全量の1979年からの変化の割合(%))の分布。TOMS及びOMIのデータに対してEESCフィッティングを行っている。 |
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