オゾン層

3.1 オゾン層

◆オゾン層に関する基礎知識

 大気オゾンの多くは成層圏に存在し、オゾン層を形成している。成層圏オゾンは、太陽から地球に注ぐ放射のうち、生物にとって有害な紫外線の多くを吸収している。成層圏オゾンは紫外線の吸収により成層圏での熱源となり、成層圏大気の循環と気温構造を作り出している。また、成層圏で吸収されずに対流圏に到達した紫外線の一部は対流圏で反応性の高い物質を作り出し、対流圏の化学過程に大きな影響を与えている。このようにオゾン層は、紫外線強度の変動を通じて対流圏オゾンをはじめとする温室効果ガスの消長にも影響するので、気候変動にとっても重要な因子である。なお、オゾン層破壊のメカニズムについては、異常気象レポート2005(気象庁, 2005)の付録3に詳しい解説がある。

◆オゾン層と地球環境問題との関係

 成層圏オゾンは、対流圏の化学過程の変化を通じて、気候の変化にも影響を与えると考えられる。また、成層圏オゾンが減少すると、成層圏の気温を下げ、地球温暖化を緩和する効果をもたらしていると評価されている。他方で、地球温暖化をもたらす二酸化炭素の増加は、成層圏での気温低下を通じて、上部成層圏ではオゾン層の回復を促進させるが、極域の下部成層圏では極域成層圏雲の発生量及び発生頻度を増加させ、オゾン層の回復を遅らせることも考えられる。また、メタンなどの変化もオゾン層破壊に影響を与える。

◆オゾン全量とオゾン分圧の観測について

 オゾン全量とは、地表から大気上端までの気柱に含まれるオゾンを積算した量。仮に大気中のオゾンをすべて1気圧0℃の地表に集めたときに、オゾンだけからなる層の厚みをセンチメートル単位で測り、この数値を1000 倍したもので、単位はm atm-cm(ミリアトムセンチメートル)またはDU(Dobson Unit;ドブソン単位)である。地球全体の平均的なオゾン全量である約300m atm-cmは3 mmの厚さに相当する。一方、オゾン分圧とは、その高度における大気の圧力(気圧)のうちオゾンが占める圧力のことで、単位はmPa(ミリパスカル:1 mPa = 10−5 hPa)で表す。本報告では、原則として週に1回行うオゾンゾンデ観測によるオゾンの鉛直分布をオゾン分圧で表している。


内容構成一覧

概要 | 話題 | 参考文献

日本上空のオゾン層 | 南極域上空のオゾン層 | 世界のオゾン全量

オゾン層及び紫外線のGAW観測所 | 観測方法(オゾン全量) | 観測方法(オゾン反転) | 観測方法(オゾンゾンデ) | 較正(オゾン全量)