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一酸化炭素の全球濃度分布と放出量最近になって、全球の一酸化炭素について、衛星観測を用いた全球分布の推定が行われるようになった。アメリカ航空宇宙局(NASA)のAqua衛星に搭載されているAIRS(Atmospheric Infrared Sounder)やTerra衛星のMOPITT(Measurement of Pollution in the Troposphere)による全球の一酸化炭素濃度分布の日々の観測が試みられている(e.g. McMillan et al., 2005; Deeter et al., 2003)。 また、逆解法(第8.2節参照)を用いて、一酸化炭素の地上観測や衛星観測を用いた放出量推定が行われている。Pétron et al.(2002)、Bergamaschi et al.(2000)、Stavrakou and Müller(2006)は、全球での一酸化炭素の放出・生成量を、それぞれ、2960〜3067 Tg/年(29.60〜30.67億トン/年)、2867〜3009 Tg/年(28.67〜30.09億トン/年)、2907 Tg/年(29.07億トン/年)と見積もっている。そのおおよそ50%近くが、化石燃料の消費やバイオマス燃焼などからの直接放出と見られている(Pétron et al., 2004)。しかし、観測から推測した人間活動による排出量は、エネルギー使用量などの産業統計等から作成された排出量の値より大きい(Bergamaschi et al., 2000; Kasibhatla et al., 2002; Arellano Jr. et al., 2004)。正確な収支の解明には、衛星による全球の濃度分布観測と逆解法による解析が、今後大きな役割を果たすと考えられる。 なお、最近の研究による東アジアでの化石燃料使用による一酸化炭素放出量については、大気・海洋環境観測報告第7号(気象庁, 2007)の第2.5節にとりまとめた。 |
OHラジカルの役割とその世界的な動向メタンや一酸化炭素を始め大気中の微量成分の多くは、主としてOHラジカルとの反応によって除去される。OHラジカルは、酸素原子と水素原子からなる非常に不安定な分子で、強い酸化力を持ち、反応性が非常に高い。対流圏でOHラジカルは、オゾンが紫外線(波長320 nm以下)で分解され励起した酸素原子O(1D)と水蒸気が反応して生成し、メタン、一酸化炭素、非メタン炭化水素や、1,1,1-トリクロロエタン(CH3CCl3)などのハロゲン化物などを分解する。 OHラジカルは大気中の寿命が極めて短く、生成・消失は空間的にも時間的にも変動が大きいことから、OHラジカルを直接測定することで全球的な傾向を把握することは難しい。そのためOHラジカルにより分解する物質から間接的に解析するが、CH3CCl3は生成や消失の過程がよく分かっていることからその目的でしばしば用いられる。このような解析の結果、対流圏大気には1 cm3中に概ね106個のOHラジカルが含まれ、年々の変動は大きいものの、世界的に1980年代に増加した後、1990年代に減少した傾向が示されている(IPCC, 2007)。今後は、排出シナリオによって異なるが2100年には−18〜+5%の間で増減するとされている(IPCC/TEAP, 2005)。 |
温室効果ガスなどのGAW観測所 | 観測方法(大気一酸化炭素) | 較正(大気一酸化炭素) | 濃度傾向・全球濃度の解析 | 逆解法を用いた放出量解析