一酸化二窒素

2.4 一酸化二窒素

 一酸化二窒素(N2O)は無色の気体で、対流圏ではきわめて安定である。8 µm付近の赤外域に吸収帯があり、強い温室効果を示す。現在の大気組成における1分子あたりの放射強制力は、二酸化炭素の約300倍と見積もられている。IPCC(2007)によると、2005年には1750年以降濃度が約18%増加している。過去2000年間でみると1800年までは大きな増加はなく、それ以降顕著に増加している(図2.1.1参照)。産業革命以降2005年までの一酸化二窒素の増加による放射強制力は、0.16 [0.14〜0.18] W/m2であり、長寿命温室効果ガスの増加による放射強制力の6%と考えられている(IPCC, 2007)。


◆地球環境問題に関連する一酸化二窒素の基礎知識

一酸化二窒素の放出源と消滅源

 一酸化二窒素(N2O)の放出源は、土壌や海洋からの自然起源のものがある。一酸化二窒素の主な自然の放出源は、海洋、大気中のアンモニアの酸化及び土壌である。人為起源の排出としては、窒素肥料の一酸化二窒素への転化とその農地土壌からの排出、バイオマス燃焼、牛の飼育及びナイロン製造などの工業活動がある(IPCC, 2007)。一方、大気からの消失過程は、成層圏での光解離などによる分解がほとんどである。分解された一酸化二窒素は成層圏においてオゾンに影響する窒素酸化物(NOx)の起源と考えられている。大気中における一酸化二窒素の寿命は114年と長い(IPCC, 2007)。
 放出源や消失源、輸送過程の状況により、大気中の濃度は振幅で0.8 ppbと微小な季節変動をしており(Liao et al., 2004)、それは南大洋での微生物活動による放出と深く関連しているという指摘がある(Nevison, et al., 2005)。


一酸化二窒素の濃度変動の歴史

 20世紀に観測された一酸化二窒素濃度の増加は、少なくとも過去16000年の間では前例のないほどの値であった可能性が非常に高い(IPCC, 2007)。過去2000年の濃度の変動を見ると(図2.1.1)、産業革命前の18世紀以前の一酸化二窒素濃度はおよそ270 ppbで、二酸化炭素の場合と同じくほぼ安定していたが、それ以降急速に増大した。


内容構成一覧

概要 | 最近の知見や話題 | 参考文献

日本における一酸化二窒素濃度 | 世界の一酸化二窒素濃度

温室効果ガスなどのGAW観測所 | 観測方法(大気一酸化二窒素) | 較正(大気一酸化二窒素)