温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)に報告された2009年までの濃度観測データを用いて月別値を算出した。対象とした気体は、CFC(CFC-11、CFC-12、CFC-113)、ハロン(Halon1211、Halon1301)、HCFC(HCFC-22、HCFC-141b、HCFC-142b)、四塩化炭素(CCl4)、1,1,1-トリクロロエタン(CH3CCl3)、HFC(HFC-134a、HFC-152a)、クロロメタン(CH3Cl)及び六フッ化硫黄(SF6)の14種類である。
図2.3.2.1は、世界におけるハロカーボン類等の月平均濃度をプロットしたものである。CFC-11は北半球で1992年頃、南半球で1993年頃を境に、増加からゆるやかな減少傾向に転じている。CFC-12は2005年頃まで増加していたがその後徐々に減少している。CFC-113はCFC-11と同様な傾向を示し、北半球で1992年頃を境としてゆるやかな減少傾向に、南半球では1997年前後を境としてゆるやかな減少傾向に転じている。わずかに増加していたHalon1211は2005年頃から増加していないが、Halon1301は現在でもわずかに増加し続けている。HCFC-22、HCFC-142b及びHFC-134a、HFC-152aは増加を続けている。HCFC-141bも増加しているが、最近5年間はその増加が緩やかになっている。CCl4は、1991年頃を境に増加から減少に転じている。CH3CCl3は、北半球で1992年頃、南半球で1993年頃を境に増加から減少に転じている。CH3Clは、この節で示すほかの物質よりも季節変動が大きいが、経年変化は1980年からほとんど変わっていない。SF6は増加を続けている。
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図2.3.2.1 主なハロカーボン類CFC-11、CFC-12、CFC-113、Halon1211、Halon1301、HCFC-22、HCFC-141b、HCFC-142b、CCl4、CH3CCl3、HFC-134a、HFC-152a、CH3Cl及びSF6の月平均濃度の時系列図。黒丸が北半球にある観測所の値、白丸が南半球にある観測所の値を示している。WDCGGに報告のあった観測点すべての値をプロットしている。 |
特定フロンであるCFC-11、CFC-12及びCFC-113とCCl4、CH3CCl3は、モントリオール議定書に基づく規制により、1996年には先進国での生産は全廃されている。これらの濃度を見ると、工業生産による増加とモントリオール議定書締結を受けた生産規制による増加の停止又は減少傾向がはっきり見て取れる。減少傾向の違いは、放出量の減少とともに、それぞれの物質の大気中の寿命を反映していると考えられる。CCl4及びCH3CCl3については、ともに1990年代前半を境に、それまで上昇傾向だったのが減少に転じている。特にCH3CCl3については、急激な減少により、現在の濃度は一番古い観測データのある1978年よりも低い値となっている。これは、CH3CCl3の寿命が他のハロカーボン類に比べて相対的に短い(約5年)のと、放出が急速に減少したためである(IPCC, 2007)。また、工業的に生産されるものがほとんどであるため、南半球より北半球の濃度が高めの傾向を示している。
ハロンも、モントリオール議定書に基づき、先進国では1994年に生産が全廃されている。Halon1301の濃度は、今のところ変化は見られていないが、Halon1211については2005年頃から増加していない。
一方、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書(IPCC, 2007)や、IPCCとモントリオール議定書の技術・経済評価パネル(TEAP)の特別報告書(IPCC/TEAP, 2005)でも指摘されているように、代替フロンとして生産が開始されたハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC-22、HCFC-141b、HCFC-142b)やハイドロフルオロカーボン類(HFC-134a、HFC-152a)は増加し続けている。