ホーム |
防災気象情報 |
気象統計情報 |
気象等の知識 |
気象庁について |
案内・申請・リンク |
平成23年8月1日更新(年1回更新)
石油などの化石燃料の燃焼により大気中に排出された硫黄酸化物や窒素酸化物から光化学反応などにより硫酸や硝酸が生成され、これが雨や雪、霧などに溶け込むとそれらが酸性化します。雨、雪、霧などに溶け込み降水として地表に降下した酸の量が多くなると湖沼や河川、土壌を酸性化して生態系に影響を及ぼすことから、大きな環境問題となっています。
気象庁では、人為的な影響が比較的少ない地点で降水のpH(物質の酸性、アルカリ性の度合いを示す数値で、小さいほど酸性度が強いことを示します(酸性雨に関する基礎知識参照))を観測しています。
岩手県大船渡市綾里及び東京都小笠原村南鳥島における降水のpHの2009年平均値は、それぞれ4.7、5.2でした。南鳥島の酸性度が綾里より弱いのは、人為的な影響が綾里より少ないためです。綾里では、観測を開始した1976年直後はpH5.0より大きく比較的酸性度が弱かったのですが、その後はpH4.4〜5.0の範囲で推移しており、観測した全期間(1976〜2009年の34年間)を通して有意な変化傾向は見られません。南鳥島では、1996〜2002年までpH5.5〜5.8の範囲で推移していましたが、近年はpHの低下が見られます。
南鳥島における2003年及び2005年のpHの顕著な低下は、南鳥島の南西約1,200kmにある北マリアナ諸島アナタハン火山における噴火活動が2003年5〜6月及び2004年4月〜2005年9月にかけて活発化したことによる、火山ガスの流入が原因の一つと考えられます。しかし、2008年以降pHが低く2002年以前の値に戻っていないことや、他機関が実施している小笠原村父島での降水pHの観測値にも年により変動があるもののpHの低下傾向が見られることから、大陸から輸送されてきた酸性物質の影響を受けている可能性も否定できません。南鳥島のpH低下が一時的なものかどうか、今後の推移を注視していく必要があります。
綾里および南鳥島における降水のpHの経年変化