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第2章 気候に関連する海洋の変動
2.1.1 海面水温
平成23年3月30日
図1 中層フロート運用の模式図
海洋に投入された中層フロートは、通常深度約1000mを漂流しており、およそ10日毎に深度2000mまで降下した後、海面まで浮上する動作を繰り返す。浮上時に測定される深度2000mから海面までの水温、塩分の鉛直プロファイルデータは、衛星を経由して自動的に通報される。
海洋の気候への役割を理解し気候の予測を行うためには、世界中の海洋の状況を詳細に知ることが不可欠である。そこで、世界の海洋を常時観測するシステムとして「アルゴ(Argo)1計画」が提唱された。この計画は、海面から深さ2000mまでの間を自動的に浮き沈みしながら水温・塩分を観測して、そのデータを衛星を経由して通報する観測機器(中層フロート;図1)を世界中の海に約3000個投入することによって、常時全海洋を観測するシステムを構築するものである。アルゴ計画は、世界気象機関(WMO)やユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)などによる国際的な協力のもとに推進されており、現在、我が国をはじめとする20以上の国と地域(EU;欧州連合)が参加している。
中層フロートの投入(図2)は2000年から開始された。その後、中層フロートの運用数は順調に増加し、2007年10月には当初計画の目標である3000個に到達した。2011年3月現在、3256個の中層フロートが観測を行っている(図3)。
中層フロートから通報されたデータは、すぐに気象データ交換のための全球気象通信システム(GTS)を通じて、国際的に交換され、海水温予測やエルニーニョ現象の監視・予測などの気象・海洋業務に利用されている。また、これらのデータはアメリカとフランスに設けられたアルゴ全球データセンターに収集され、インターネットを通じて世界中の利用者が無償、無制限で利用できるようになっており、海洋内部の水温・塩分・貯熱量等の変動や中層フロートの漂流深度での流れの把握、水塊の形成過程の解明など、気候や海洋の調査・研究に活用されている。
我が国では、政府のミレニアム・プロジェクトの一つである「高度海洋監視システム(アルゴ計画)の構築」を気象庁・文部科学省などが連携して2000年度から5か年計画で実施し、その後は関係省庁・機関と研究者で構成される「アルゴ計画推進委員会」の下、国際的なアルゴ計画の推進に貢献している。
気象庁は、我が国の中層フロートのデータを、GTSおよびアルゴ全球データセンターにリアルタイムで配信するとともに、GTSを通じて全世界の中層フロートのデータを、リアルタイムで収集して内外の関係機関に提供する「アルゴリアルタイムデータベース」を運用している。また、中層フロートのデータを含む世界の海洋データを利用して、エルニーニョ現象や海水温・海流などに関する情報の作成・提供を行っている。
1 アルゴ(Argo)計画という名前は、ギリシャ神話に登場する英雄Jason(イアソン)がその仲間とともに、黄金の羊毛を捜し求めるために乗った船アルゴ(Argo)号にちなみ、宇宙から海洋を観測する海面高度衛星Jasonと対をなすものとして名づけられた。
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