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平成25年3月21日発表(次回発表予定 平成26年3月20日)
気象庁地球環境・海洋部
- 1990年代から2012年にかけて、北西太平洋亜熱帯域の東経137度および東経165度において海洋中に蓄積した二酸化炭素量は、約6〜7トン炭素/km2/年でした。
- 東経137度と東経165度のいずれの観測線においても、南側よりも北側のほうが1年あたりの二酸化炭素蓄積量が多くなっています。
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東経137度および東経165度における海洋中の二酸化炭素蓄積速度
東経137度:範囲は北緯10度から30度、期間は1994年から2012年までの18年間。
東経165度:範囲は北緯10度から32度、期間は1992年から2012年までの20年間。
解析手法の詳細は、海洋中の二酸化炭素蓄積量の見積もり方法をご覧ください。
なお、掲載しているデータは、解析に使用するデータの変更などにより修正する場合があります。
グラフのデータ[TEXT形式:1KB]
北西太平洋亜熱帯域において1990年代と2012年の観測データを比較して見積もったところ、海洋中に新たに蓄積した二酸化炭素量は、東経137度の北緯10度から30度の海域では1994年から2012年までの18年間で約120トン炭素/km2(面積1平方キロメートルの海域あたりに蓄積した炭素の重量に換算)、東経165度の北緯10度から32度の海域では1992年から2012年までの20年間で約120トン炭素/km2でした。それぞれ1年あたりで見ると、東経137度では約7トン炭素/km2/年、東経165度では約6トン炭素/km2/年でした。
海洋中の二酸化炭素蓄積量
産業革命(1750年ごろ)以降1990年代までの海洋全体の二酸化炭素蓄積量は約1180億トン炭素と見積もられており(Sabine et al., 2004)、このうち太平洋は約445億トン炭素の二酸化炭素を蓄積していると見積もられています(Sabine et al., 2002)。気象庁が観測を行っている北西太平洋においては、単位面積当たり約300トン炭素/km2が蓄積しているとみられます。 気象庁の観測定線における二酸化炭素の蓄積量は、東経137度で1994年から2012年までの18年間で約120トン炭素/km2、東経165度で1992年から2012年までの20年間で約120トン炭素/km2でした。 これはこの期間で、産業革命以降1990年代までの約250年間に北西太平洋で蓄積した量の1/3以上の量が、さらに蓄積したことを示します。
北太平洋のその他の海域(東経149度(南緯4度〜北緯30度)、西経152度(南緯17度〜北緯57度)、北緯30度(東経135度〜西経125度))における最近の研究でも、同じような期間において3〜6トン炭素/km2/年と、東経137度や東経165度とほぼ同程度の速度で二酸化炭素が蓄積していることが報告されています(Murata et al., 2009、Sabine et al., 2008)。
北西太平洋においては、これまで大気の二酸化炭素濃度の増加速度にほぼ対応して海水中に蓄積している二酸化炭素の量が増加していることが報告されています(Ishii et al., 2010)。 一方、近年、大気中の二酸化炭素濃度の増加速度が速くなっていることが報告されています(Canadell et al., 2007)。 世界気象機関(WMO)温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析でも、大気中の二酸化炭素濃度の増加は、1990年代の平均が年に約1.5ppmであるのに対して、最近10年の平均増加量は年に2.0ppmという解析結果が得られています。 このような大気中の二酸化炭素濃度の増加速度の変化に応じて、今後、海洋への二酸化炭素の蓄積速度がどのように変化するのか継続的に監視することが重要です。
深さごとの海洋中の二酸化炭素蓄積量
海洋中の二酸化炭素蓄積量の差の鉛直断面分布図を見ると、海面に近いほど差が大きく、海面から深さ数百メートル程度までの海洋表層に含まれる二酸化炭素量に増加が見られます。 表面海水中に溶けた二酸化炭素は、冬季の海面冷却による鉛直混合などによって海洋中に取り込まれます。今回解析を行った東経137度および東経165度のいずれの観測線においても、冬季の冷却による鉛直混合のため北側ほど深くまで二酸化炭素が増加しており、単位面積あたりの蓄積量も多くなっています。
海洋中の二酸化炭素蓄積量の診断について
海洋中に溶けている二酸化炭素量は大気との二酸化炭素のやり取りのほかに、海流などの海洋の循環や生物活動などの自然変動の影響を受けて変動します。「海洋中の二酸化炭素蓄積量」の診断では、人間活動により排出された二酸化炭素の影響で変化した海洋中の二酸化炭素量を診断するため、海洋の循環や生物活動による自然変動の影響を除いて二酸化炭素の蓄積量の差を見積もっています。将来、さらに地球温暖化が進行すると、二酸化炭素の吸収能力が弱くなることが予測されています。海洋の二酸化炭素蓄積量の変化を監視し、海洋全体の炭素循環の状況を把握することが、海洋の二酸化炭素吸収能力を評価する上で重要です。
参考文献
- Canadell, J. G., L. C. Quere, M. R. Raupach, C. B. Field, E. T. Buitehuis, P. Ciais, T. J. Conway, N. P. Gillett, R. A. Houghton, and G. Marland, 2007: Contributions to accelerating atmospheric CO2 growth from economic activity, carbon intensity, and efficiency of natural sinks. Proceedings of the National Academy of Sciences USA DOI: 10.1073/pnas.0702737104.
- Ishii, M., D. Sasano, N. Kosugi, T. Midorikawa, S. Masuda, T. Tokieda, T. Nakano, and H. Y. Inoue, 2010: Trend of DIC increase and acidification in the interior of the western North Pacific subtropical gyre, Eos Trans. AGU, 91(26), Ocean Sci. Meet. Suppl., Abstract IT25M-11.
- Murata, A., Y. Kumamoto, K. Sasaki, S. Watanabe, and M. Fukasawa, 2009: Decadal increases of anthropogenic CO2 along 149°E in the western North Pacific, J. Geophys. Res., 114, C04018, doi:10.1029/2008JC004920.
- Sabine, C. L., R. A. Feely, R. M. Key, J. L. Bullister, F. J. Millero, K. Lee, T.-H. Peng, B. Tilbrook, T. Ono, and C. S. Wong, 2002: Distribution of anthropogenic CO2 in the Pacific Ocean, Global Biogeochem. Cycles, 16(4), 1083, doi:10.1029/2001GB001639.
- Sabine, C. L., et al., 2004: The oceanic sink for anthropogenic CO2, Science, 305(5682), 367-371.
- Sabine, C. L., R. A. Feely, F. J. Millero, A. G. Dickson, C. Langdon, S. Mecking, and D. Greeley, 2008: Decadal changes in Pacific Carbon. J. Geophys. Res., 113, C07021, doi:10.1029/2007JC004577.
海洋中の二酸化炭素蓄積量の差(東経137度および東経165度)
東経137度は1994年から2012年までの18年間、東経165度は1992年から2012年までの20年間に蓄積した二酸化炭素量(µmol/kg)。
横軸は緯度(北緯)、縦軸は水深(m)です。
単位の「µmol/kg」は海水1kg中に含まれる二酸化炭素の物質量です。
1µmolの二酸化炭素量を炭素の重量に換算すると約12µgに相当します。
µ(マイクロ)は百万分の1です。