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大気−海洋間の二酸化炭素交換量(太平洋)

平成24年3月21日発表(次回発表予定 平成25年3月21日)

気象庁地球環境・海洋部

診断(2010年)

太平洋における大気−海洋間の二酸化炭素交換量の月間及び年間の積算値(1985〜2010年)

太平洋における大気−海洋間の二酸化炭素交換量の月ごと及び年間の積算値(1985〜2010年)

二酸化炭素交換量の積算値の正の値は海洋から大気へ二酸化炭素が放出されていることを、負の値は大気中の二酸化炭素が海洋に吸収されていることを示しています。単位は、二酸化炭素交換量を炭素の重量に換算した値、「億トン炭素」であらわしています。
上図は、月積算値を示したもので、桃色及び水色の陰影は、それぞれエルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間をあらわしています。中段図は、年積算値を示したもので、図中の点線は、平年値(1985〜2010年の平均:7.1億トン炭素/年)をあらわしています。
左下図は、2010年の月ごとの積算値を詳細に見たもので、青線は2010年の値を、白線は平年値を示しています。赤色の範囲は「平年並」の範囲で、赤色の範囲を超えて上にあるときは吸収(放出)量が「少ない(多い)」、下にあるときは吸収(放出)量が「多い(少ない)」ことをあらわします。「平年並」の範囲は、1985〜2010年の26年間の交換量の上位3分の1と下位3分の1の事例を除いた範囲として定義しています。また、桃色の範囲は1985〜2010年の26年間の交換量の上位10分の1と下位10分の1の事例を除いた範囲を示しています。桃色の範囲を超えて上にあるときは吸収(放出)量が「かなり少ない(多い)」、下にあるときは吸収(放出)量が「かなり多い(少ない)」ことをあらわします。
右下図は、太平洋の二酸化炭素交換量の解析範囲(桃色で着色した領域)をあらわします。

時系列データ[TEXT形式:6KB]

掲載しているデータは、解析に使用するデータの変更などにより過去にさかのぼって修正する場合があります。

使用データ等の詳細については、大気−海洋間の二酸化炭素交換量の見積もり方法をご覧ください。

解説

太平洋は、赤道付近で年間を通じて二酸化炭素を放出し、亜熱帯域から亜寒帯域にかけての海域で冬季に吸収しています。太平洋全体で見ると、吸収量が放出量を上回るため、二酸化炭素の吸収域となっています。太平洋は1985〜2010年で平均すると7.1億トン炭素/年(炭素の重量に換算した1年あたりの量)を吸収しています。この量は気候変動に関する政府間パネル第4次評価報告書において全海洋で見積もられた1990年代の年平均吸収量の22億トン炭素/年(IPCC, 2007)の約3割に相当します。海洋は人間活動により大気中に排出された二酸化炭素の約3割を吸収していると言われており(海洋の二酸化炭素吸収量)、太平洋は人間活動により排出された二酸化炭素の約1割を吸収していることになります。太平洋の面積は全海洋の面積の46%を占めていますが、太平洋は、赤道域で他の大洋より多くの二酸化炭素を放出するため、太平洋の全海洋に占める二酸化炭素吸収量の割合は面積の割合より小さくなります(海洋の二酸化炭素交換量の分布)。

二酸化炭素交換量の長期的な変化傾向と2010年の特徴

太平洋の年ごとの二酸化炭素交換量は、数年から十年規模の変動が卓越しており、1985〜2010年の期間については長期的な変化傾向は見られません。2003年以降は、二酸化炭素の吸収量が平年より多い年が多くなっています。2000年代の太平洋の年間二酸化炭素吸収量は7.6億トン炭素/年です。
2010年の二酸化炭素の吸収量は9.3億トン炭素/年で、平年値(1985〜2010年の26年間の平均値)の7.1億トン炭素/年と比べてかなり多くなりました。これは、2003年以降、太平洋全体で二酸化炭素の吸収量が多くなっていることと、北太平洋・南太平洋の亜寒帯域で年間を通して表面海水中の二酸化炭素分圧が低く、大気−海洋間の二酸化炭素分圧差が大きくなったことによるものと考えられます。

2010年の二酸化炭素交換量

2010年12月は平年より吸収量が少なくなりましたが、ほかの月は平年並か平年より多くなりました。特に、1〜4月は平年より海洋の吸収量がかなり多くなりました。海域ごとに見た二酸化炭素交換量の変動の特徴は以下のとおりです。

  • 北太平洋亜寒帯域は年間を通して表面海水中の二酸化炭素分圧が低く、大気−海洋間の二酸化炭素分圧差が平年よりも大きくなりました。また、3月には特に海上風速が強くなり二酸化炭素の交換が促されました。その結果、年間を通して二酸化炭素吸収量が多くなりました。
  • 南太平洋亜寒帯域は年間を通して表面海水中の二酸化炭素分圧が低く、大気−海洋間の二酸化炭素分圧差が平年よりも大きくなりました。また、9月には特に海上風速が強くなり、二酸化炭素の交換が促されました。その結果、年間を通して二酸化炭素吸収量が多くなりました。
  • 赤道域では、2010年の夏からラニーニャ現象(エルニーニョ/ラニーニャ現象とは)が発生しており、貿易風が強化したことと、海洋下層からの二酸化炭素を多く含む水の湧昇が強化し、表面海水中の二酸化炭素分圧が上昇したことで、7〜12月に二酸化炭素放出量が多くなりました。特に12月には、海上風速が強くなり二酸化炭素の交換が促されたため、二酸化炭素放出量が平年よりかなり多くなりました。

参照:大気−海洋間の二酸化炭素交換量(海域別)


大気−海洋間の二酸化炭素交換量の診断について

気象庁では、大気−海洋間の二酸化炭素交換量(大気と海洋の間でやり取りする二酸化炭素の正味の総量)を見積もっています(二酸化炭素交換量の見積もり期間と範囲)。海洋の二酸化炭素の吸収量の変化は、地球温暖化の進行に大きな影響を及ぼします。地球温暖化の精度のよい予測のため、大気−海洋間の二酸化炭素交換量が今後どのように変化するのかについて監視を続けていく必要があります。

参考文献

  • IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change), 2007: Climate Change 2007: The Physical Science Basis. Working Group I Contribution to the Fourth Assessment Report of the IPCC, Cambridge University Press, Cambridge, UK and New York, NY, USA, 996pp.

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