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平成25年3月21日発表(次回発表予定 平成26年3月20日)
気象庁地球環境・海洋部
- 大西洋では、1985〜2011年の期間を通じて大気から海洋中に二酸化炭素が吸収されています。
- 大西洋は、平年(1985〜2010年の平均)では8.4億トン炭素/年(炭素の重量に換算した1年あたりの量)の二酸化炭素を吸収しており、その量は全海洋で見積もられた1990年代の年平均吸収量の22億トン炭素/年(IPCC, 2007)の約4割に相当します。
- 大西洋の二酸化炭素の吸収量には、1990年代後半までは減少傾向が、1990年代後半からは増加傾向が見られます。
- 2011年の大西洋の二酸化炭素の吸収量は、9.0億トン炭素/年であり、平年の吸収量の8.4億トン炭素/年より多くなりました。
大西洋における大気−海洋間の二酸化炭素交換量の月ごと及び年間の積算値(1985〜2011年)
二酸化炭素交換量の積算値の正の値は海洋から大気へ二酸化炭素が放出されていることを、負の値は大気中の二酸化炭素が海洋に吸収されていることを示しています。単位は、二酸化炭素交換量を炭素の重量に換算した値、「億トン炭素」であらわしています。
上図は、月積算値をあらわしたものです。中段図は、年積算値を示したもので、図中の点線は、平年値(1985〜2011年の平均:8.4億トン炭素/年)をあらわしています。
左下図は、2011年の月ごとの積算値を詳細に見たもので、青線は2011年の値を、白線は平年値を示しています。赤色の範囲は「平年並」の範囲で、赤色の範囲を超えて上にあるときは吸収(放出)量が「少ない(多い)」、下にあるときは吸収(放出)量が「多い(少ない)」ことをあらわします。「平年並」の範囲は、1985〜2010年の27年間の交換量の上位3分の1と下位3分の1の事例を除いた範囲として定義しています。また、桃色の範囲は1985〜2010年の26年間の交換量の上位10分の1と下位10分の1の事例を除いた範囲を示しています。桃色の範囲を超えて上にあるときは吸収(放出)量が「かなり少ない(多い)」、下にあるときは吸収(放出)量が「かなり多い(少ない)」ことをあらわします。
右下図は、大西洋の二酸化炭素交換量の解析範囲(桃色で着色した領域)をあらわします。
掲載しているデータは、解析に使用するデータの変更などにより過去にさかのぼって修正する場合があります。
使用データ等の詳細については、大気−海洋間の二酸化炭素交換量の見積もり方法をご覧ください。
北大西洋亜寒帯・寒帯域及び南大西洋亜寒帯・寒帯域では、年間を通じて二酸化炭素を吸収しています。北大西洋亜熱帯域及び南大西洋亜熱帯域では、冬季に二酸化炭素を吸収し夏季に放出する季節変化が見られます。赤道域ではわずかながら年間を通じて二酸化炭素を放出しています。大西洋全体で見ると、吸収量が放出量を大きく上回り、二酸化炭素の吸収域となっています。大西洋は1985〜2010年で平均すると8.4億トン炭素/年(炭素の重量に換算した1年あたりの量)を吸収しています。この量は気候変動に関する政府間パネル第4次評価報告書において全海洋で見積もられた1990年代の年平均吸収量の22億トン炭素/年(IPCC, 2007)の約4割に相当します。海洋は人間活動により大気中に排出された二酸化炭素の約3割を吸収していると言われており(海洋の二酸化炭素吸収量)、大西洋は人間活動により排出された二酸化炭素の1割強を吸収していることになります。大西洋の面積は全海洋の面積の25%ですが、大西洋は、亜寒帯・寒帯域で他の大洋より多くの二酸化炭素を吸収するため、大西洋の全海洋に占める二酸化炭素吸収量の割合は面積の割合より大きくなります(海洋の二酸化炭素交換量の分布)。
二酸化炭素交換量の長期的な変化傾向と2011年の特徴
大西洋の年ごとの二酸化炭素交換量は、1985年から1990年代後半にかけて吸収量の減少傾向が、1990年代後半から2011年の期間にかけて吸収量の増加傾向が見られており、長期的な変化傾向について引き続き注意深く監視していく必要があります。2011年の二酸化炭素の吸収量は9.0億トン炭素/年で、平年値(1985〜2010年の26年間の平均値)の8.4億トン炭素/年と比べて多くなりました。
2011年の二酸化炭素交換量
2011年は各月とも1月を除き平年並あるいは平年よりも吸収量が多くなりました。特に、4月以降、南大西洋亜寒帯・寒帯域で海水中の二酸化炭素分圧が低く、大気−海洋間の二酸化炭素分圧差が平年よりも大きくなったことにより、二酸化炭素の吸収量が多くなりました。1月は北大西洋亜寒帯・寒帯域で海水中の二酸化炭素分圧が高く、大気−海洋間の二酸化炭素分圧差が平年よりも小さくなったことにより、二酸化炭素の吸収量が少なくなりました。
大気−海洋間の二酸化炭素交換量の診断について
気象庁では、大気−海洋間の二酸化炭素交換量(大気と海洋の間でやり取りする二酸化炭素の正味の総量)を見積もっています(二酸化炭素交換量の見積もり期間と範囲)。海洋の二酸化炭素の吸収量の変化は、地球温暖化の進行に大きな影響を及ぼします。地球温暖化の精度のよい予測のため、二酸化炭素交換量が今後どのように変化するのかについて監視を続けていく必要があります。
参考文献
- IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change), 2007: Climate Change 2007: The Physical Science Basis. Working Group I Contribution to the Fourth Assessment Report of the IPCC, Cambridge University Press, Cambridge, UK and New York, NY, USA, 996pp.