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沿岸波浪計の観測方法

気象庁沿岸波浪計による波浪観測

  気象庁では、日本の沿岸に波浪計を設置し、沿岸波浪の観測を行っています。観測の結果は、波浪の実況監視や波浪解析に利用されます。沿岸波浪計は、レーダー式沿岸波浪計と超音波式沿岸波浪計の2種類があります。

  波浪観測情報では速やかなデータ提供を行うため、観測された値をそのまま表示しています。後日品質管理を実施して、異常値等を除去しています(沿岸波浪計観測値)。

1.レーダー式沿岸波浪計

    (1) 原理
       レーダー式沿岸波浪計は、海岸から電波(マイクロ波)を海面に向けて発射し、波浪に伴う海面の動きに応じてドップラー効果により変調された反射波を測定することにより、有義波高、有義波周期及び波向を求めます。ここで利用する反射波は、風により海面に生じる「しわ」のような、波長数センチメートル程度の小さな波(表面張力波)により反射された電波です。
       レーダー式沿岸波浪計の観測システムの概要を図1に示します。送受波装置は、できるだけ沿岸地形の影響を受けない沖の波浪を観測するために、海岸の見通しの良い高台に設置しています。送受波装置では、水平方向30度毎に6方向を向いたアンテナから順番に電波を発射して、アンテナの方向ごとに測定します。1方向の測定は約2分間で、15分間に6方向を走査し、これを3回繰り返した結果を平均処理して波浪の観測値としています。
       観測データは気象庁本庁に伝送されます。気象庁本庁では、レーダーの運用状況を把握するほか、遠隔操作により観測を制御することができます。

    (2) 特徴
      @ 防災上重要な高い波高については、高い精度で観測できる。
      A 超音波式沿岸波浪計に比べてより広い範囲(水平角度120〜180度)で平均した観測値が得られる。
      B 海中に機器を設置していないため、機器の障害時に早急な対応が可能で、長期にわたる欠測がない。
      C 風により生じる海面の小さな波による反射波を観測しているため、海上の風が弱い場合は、海面からの反射が弱くなり波浪を正確に測定できないことがある。

図1.レーダー式沿岸波浪計観測システム概要図
図1.レーダー式沿岸波浪計観測システム概要図


2.超音波式沿岸波浪計

     超音波式沿岸波浪計は、海底に超音波送受波器を設置し、水中から発射した超音波が海面で反射して戻るまでの時間を計ることにより、海面の水位変動を測っています。この水位変動を、連続的に測ることで海面の変動が分かり、統計的に処理することで、海面の波を観測しています。
     観測システムは、図2に示したとおりです。観測センサーである超音波送受波器は、できるだけ沿岸地形の影響を受けない沖合の表面波形を観測するために、海岸線より沖合1〜3km、水深50m程度の海底に設置してあります。この送受波器は鋭いビームの超音波パルスを1秒間に約4回垂直に発射し、海面からの反射波を受信しています。
     センサーからの信号は近くの海岸に設けられている観測局でデジタル化され、伝送上のチェック信号と組み合わされた上、NTT回線を通じて監視局である観測実施官署に送信されます。監視局では毎正時の25分前から5分前までの20分間に収集した海面水位データを電子計算機で処理し、有義波高などの波浪解析結果を気象庁本庁に通報しています。また、CRTモニターやアナログ記録計による常時監視も可能となっています。

図2.超音波式沿岸波浪計観測システム概要図
図2.超音波式沿岸波浪計観測システム概要図


3.レーダー式沿岸波浪計と超音波式沿岸波浪計の比較例

     レーダー式沿岸波浪計と超音波式沿岸波浪計の有義波高について、同時に観測した値を比較しました。
     比較期間中には、強い冬型の気圧配置となり5m以上の波高も観測しており、期間内において観測した有義波高は、よく一致しています。

図3.レーダー式沿岸波浪計と超音波式沿岸波浪計による有義波高時系列
(経ヶ岬:平成21年12月25日〜平成22年1月24日)
図3.レーダー式沿岸波浪計と超音波式沿岸波浪計による有義波高時系列