海洋の循環
海洋表層の循環
| 黒潮続流の変動
海洋表層の循環
海面から1000m深程度までの海洋の流れを、長期間にわたって平均すると、
海洋にはいくつかの大規模な水平方向の流れがあります。
全球規模でみると、南極大陸周囲に流量の大きい東向きの海流(南極環流)があり、
各大洋(太平洋・大西洋・インド洋)の亜熱帯域などに大規模な循環が存在し、例えば、
北半球亜熱帯域では時計回りの循環、南半球亜熱帯域では反時計回りの循環となっています。
このような海洋表層の循環は、主に海上を吹く風が海面に及ぼす力(風応力)によって
駆動されており、地球の自転による効果によって“西岸強化“と呼ばれる現象が見られます。
北半球の亜熱帯循環を例にすると、西岸付近に幅の狭い強い北向きの流れ (西岸境界流と呼ばれ、
北太平洋では黒潮、北大西洋では湾流にあたる)があり、その東側はゆっくりとした南向きの流れがある領域となっています。
北太平洋海域をより詳細に見ると、熱帯域には反時計回りの熱帯循環、亜熱帯域には
時計回りの亜熱帯循環、亜寒帯域には反時計回りの亜寒帯循環があることがわかります。
このような循環は、いくつかの海流により構成され、亜熱帯循環では、北赤道海流、黒潮
および黒潮続流、カリフォルニア海流などの海流により、亜寒帯循環であれば親潮や亜寒
帯海流などの海流により構成されています。
海洋表層の循環の模式図
(北半球冬季における循環を模式化)
黒潮続流の変動
北太平洋の海流系のなかで、北太平洋における10年程度の時間規模の気候変動と深く関連
していると考えられているのが、亜熱帯循環の西岸境界流である黒潮とその下流にあたる
黒潮続流です。それは、黒潮および黒潮続流の流域である本州の南方および東方の海域が、
北太平洋において最も多く海洋から大気へ熱を放出している海域であり、また、黒潮が大
量の熱を低緯度から中緯度へ運ぶことによって、この海域で大気に放出される熱を補って
いるためです。
最近の研究によれば、この亜熱帯循環の一部である黒潮続流は、1992年から1996年にかけ、
東向きの流れと南側の再循環がともに強い状態から弱い状態に推移し、この間の流軸は
北寄りから南寄りへ遷移し、1999年から2000年には再び東向きの流れと南側の再循環が
強い状態となり、流軸は北に寄っていたことが示されました。
そして2000年頃は黒潮続流の東向きの流れが強く、 南側の再循環も強い状態は日本東方
における海洋の貯熱量を増加させ、大気との熱の交換量を増加させていたと考えられます。
黒潮続流を挟んだ海面高度の差
(差が大きいほど黒潮続流の東向きの流れが強い)