ホーム |
防災気象情報 |
気象統計情報 |
気象等の知識 |
気象庁について |
案内・申請・リンク |
産業革命(1750年ごろ)以降、大気中の二酸化炭素濃度は年々増加しています。 大気と海洋が接している海面では、大気と海洋の間で二酸化炭素の交換が行われています。大気中の二酸化炭素の増加に伴って、海水に溶け込む量が増えるため海洋表面の二酸化炭素も年々増加しています。 海洋中に吸収された二酸化炭素は、海洋の循環や生物活動により深層に運ばれ蓄積されていきます。
現在、海洋は大気中に存在する量の約50倍もの炭素を蓄えています。また、化石燃料の燃焼などにより放出された二酸化炭素(炭素重量換算で72±3億トン/年)の約3分の1を海洋が吸収しています(IPCC, 2007)。 しかしながら、地球温暖化の進行により、海洋の二酸化炭素吸収能力や海洋の循環が変化することが予測されています。 大気中の二酸化炭素濃度を左右する海洋の二酸化炭素吸収能力を監視するため、海洋に蓄積された二酸化炭素量を把握することが重要です。
産業革命以降1990年代までの、人間活動により排出された二酸化炭素を吸収した量(二酸化炭素蓄積量)は、海洋全体で約1180億トン炭素(炭素の重量に換算)にのぼります。 海洋中の二酸化炭素蓄積量の分布は一様ではなく、北大西洋や南半球の南緯15度から南緯50度の範囲の海域で多くなっています(IPCC, 2007、Sabine et al., 2004)。 大洋ごとには太平洋で約445億トン炭素、大西洋では約400億トン炭素、インド洋では約220億トン炭素の二酸化炭素を蓄積していると見積もられています。 太平洋は大西洋に比べて単位面積当たりの蓄積量としては少なく、総量としては大西洋とほぼ同量であり、海洋全体の約40%を蓄積しています。 北太平洋の分布の特徴としては、東側より西側で多く、また赤道付近より高緯度側で多くなっています。 気象庁が観測を行う北西太平洋は、北太平洋の中では、比較的二酸化炭素の蓄積量が多い海域です。
断面をみると、数百メートルから概ね千メートルの深さで二酸化炭素が増加しており、海面から深さ400メートル程度までに、蓄積された二酸化炭素の約50%が存在しています(IPCC, 2007、Sabine et al., 2004)。 しかし北大西洋では水深千メートルを超えて数千メートルの深さまで二酸化炭素の蓄積がみられます。 これは大西洋や南大洋の高緯度域では大気による強い冷却等により大変重い水が形成され、表層で二酸化炭素を吸収した海水が海底まで沈み込むためです。
海洋中の二酸化炭素蓄積量
IPCC, 2007より
産業革命以降1994年まで間に蓄積した二酸化炭素の鉛直積算量(mol/m2)
およそ12倍するとトン炭素/km2になります
海洋全体では1180±190億トン炭素蓄積しています
海洋中の二酸化炭素量断面図
IPCC, 2007より
緯度方向で見た1994年までに蓄積した二酸化炭素量の平均断面図(µmol/kg)
(a)太平洋とインド洋の平均、(b)大西洋の平均
横軸は緯度、縦軸は水深(m)です。
単位の「µmol/kg」は海水1kg中に含まれる二酸化炭素の物質量です。
1µmolの二酸化炭素量を炭素の重量に換算すると約12µgに相当します。
µ(マイクロ)は百万分の1です。
1990年代以降、近年までの二酸化炭素の蓄積量とその蓄積する速度を明らかにする試みが行われています。 太平洋域では東経149度(Murata et al., 2009)、西経152度及び北緯30度(Sabine et al., 2008)、南緯32度(Murata et al., 2007)に沿った観測が行われており、北太平洋では1年あたり3〜6トン炭素/km2/年の二酸化炭素が蓄積していることが解析されています。 1990年代の海洋全体の二酸化炭素の吸収量は1年あたり22億トン炭素/年と見積もられており(IPCC, 2007)、1平方キロメートル当たりに換算すると1年あたり6トン炭素/km2/年です。北太平洋では、1990年代の全海洋の吸収速度の平均とほぼ同程度の速度で二酸化炭素を蓄積しています。
| 海域 | 期間 | 蓄積速度 [トン炭素/km2/年] | 参考文献 |
|---|---|---|---|
| 北太平洋(北緯30度) | 1994-2004 | 5.2 | Sabineet al., 2008 |
| 北太平洋(東経149度) | 1993-2005 | 6.0 | Murataet al., 2009 |
| 北太平洋(西経152度) | 1991/1992-2006 | 3.0 | Sabineet al., 2008 |
| 南太平洋(南緯32度) | 1992-2003 | 12.0 | Murataet al., 2007 |
| 南太平洋(西経152度) | 1991-2005 | 4.9 | Sabineet al., 2008 |