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ホーム > 気象等の知識 > 海洋 > 海洋の温室効果ガスの知識 > 海洋の二酸化炭素濃度の長期変化傾向

海洋の二酸化炭素濃度の長期変化傾向

表面海水中の二酸化炭素濃度が大気中よりも低いと二酸化炭素が大気から海洋に吸収され、高いと海洋から大気に二酸化炭素が放出されます。大気中の二酸化炭素濃度は人間活動により排出された二酸化炭素の影響により長期的に増加しています。大気中の二酸化炭素濃度の増加に対し、表面海水中の二酸化炭素濃度がどのように応答して変化しているのか監視することが、将来の大気中の二酸化炭素濃度を予測するために必要です。このため、表面海水中の二酸化炭素観測が、気象庁を含め国内外の機関で実施されています。

下の表は、表面海水中の二酸化炭素濃度の長期変化傾向に関する最近の研究成果をまとめたものです。表面海水中の二酸化炭素濃度は、エルニーニョ・南方振動(El Niño-Southern Oscillation:ENSO)や太平洋十年規模振動(Pacific Decadal Oscillation:PDO)、北大西洋振動(North Atlantic Oscillation:NAO)といった数年から十年の規模の海洋や大気の変動の影響を受けています。そのため、海域や期間によってその変化傾向が異なりますが、1970年から2007年の期間で全海洋を平均すると年当たりおよそ1.7 ppm増加しています(Takahashi et al., 2009)。一方、気象庁が運用する世界気象機関(WMO)温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析によると、大気中の二酸化炭素濃度は、1983年から2008年の期間で平均して、全ての緯度帯で年当たり1.6〜1.7 ppmの割合で濃度の増加が続いており、今までのところ、大気とほぼ同様の速度で表面海水中の二酸化炭素濃度は増加していると考えられます。

大気中の二酸化炭素の増加速度が近年速くなっていることが報告されています(Canadell et al., 2007)。WDCGGの解析では、1998年〜2008年の過去10年間でみると世界の平均濃度の増加量は年当たり1.93 ppmでした。その原因の一つとして、人間活動による二酸化炭素の排出量の増加が指摘されています。今後、人間活動による二酸化炭素の排出などの影響を受けて、表面海水中の二酸化炭素濃度の増加速度がどのように変化するのかが、大気中の二酸化炭素濃度の変化を左右します。気象庁は北西太平洋域で表面海水中の二酸化炭素濃度の観測を継続的に実施し、その監視を行っていきます。

表面海水中の二酸化炭素濃度の長期変化傾向
海域期間長期変化傾向
(ppm/年)
出典
全球(インド洋、南大西洋を除く) 1970〜2007 1.7 Takahashi et al., 2009
北太平洋 10〜60°N 1970〜2004 1.2 Takahashi et al., 2006
北太平洋 西部亜熱帯域 137°E(冬季) 1983〜2007 1.6 Midorikawa et al., 2010
137°E(夏季) 1990〜2007 1.4
7〜35°N, 138〜147°E 1969〜1995 1.3 Inoue et al., 1999
東部亜熱帯域 23°N, 158°W 1988〜1996 1.4 Keeling et al., 2004
1997〜2002 3.2
29〜51°N, 170°W 1970〜1988 1.4 Inoue et al., 1999
23〜30°N, 121〜159°W 1984〜2008 1.0 〜 2.3 Midorikawa et al., 2011
23°N, 158°W 1988〜2007 1.9 Dore et al., 2009
西部亜寒帯域 44°N, 155°E
47°N, 160°E
1992〜2008 0.7 Wakita et al., 2010
東部亜寒帯域 48〜50°N, 133〜145°W 1973〜2005 1.4 Wong et al., 2010
太平洋赤道域 西部暖水域 137°E 1984〜2003 2.1 Midorikawa et al., 2006
175°E以西 1974〜2004 1.9 Feely et al., 2006
144°E〜160°W 1985〜2004 1.5 Ishii et al., 2009
中・東部湧昇域 120〜170°W 1974〜2004 1.1 Feely et al., 2006
南太平洋 10〜45°S, 148〜166°E 1969〜1995 1.6 Inoue et al., 1999
15〜55°S 1974〜2006 1.5 Takahashi et al., 2009
南大洋 50〜60°S(冬季) 1986〜2007 2.1 Takahashi et al., 2009
亜南極圏 140〜160°E 1969〜2002 1.0 Inoue and Ishii, 2005
極前線付近 1.5
南極圏 1.8
北大西洋 15〜70°N 1972〜2006 1.8 Takahashi et al., 2009
20〜65°N 1990〜2006 1.0 〜 4.9 Schuster et al., 2009
北大西洋 亜熱帯域 32°N, 64°W 1983〜2001 1.5 Gruber et al., 2002
1983〜2005 1.8 Bates, 2007
29°N, 15°W 1995〜2004 1.6 Santana-Casiano et al., 2007
亜寒帯域 44〜58°N, 10〜42°W(4〜7月) 1982〜1998 2.3 〜 3.5 Lefevre et al., 2004
53〜62°N, 25〜45°W(冬季) 1993〜2003 3.7 Metzl et al., 2010
2001〜2008 5.8 〜 7.2
南インド洋 20°S以南(夏季) 1990〜2006 2.2 〜 2.4 Metzl, 2009
20〜40°S(冬季) 1.5 〜 1.7
40°S以南(冬季) 2.2

参考文献

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