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大気−海洋間の二酸化炭素の正味の交換量(大気と海洋間でやり取りする二酸化炭素の正味の総量)F は、交換係数K 、表面海水の二酸化炭素分圧p CO2wおよび大気の二酸化炭素分圧p CO2aにより次の式であらわされます。
ここで、交換係数K は風速や海面水温・塩分に依存した係数です。
Wanninkhof(1992)の方法(長期間の平均風速を用いる方法)により、風速、海面水温・塩分から求めています。
気象庁では、太平洋赤道域における大気−海洋間の二酸化炭素交換量の月ごとの見積もりを、1992年以降の期間について行っています。対象海域は、南緯10〜北緯5度、東経135〜西経95度です。
表面海水の二酸化炭素分圧は、表面海水中の全炭酸濃度と全アルカリ度を海面水温・塩分、年から導く経験式によって求めたのち、これらと二酸化炭素のヘンリー定数、炭酸やホウ酸の酸解離平衡定数などを用いて求めることができます(中舘・石井,2007)。全炭酸濃度を導く経験式は、東部の赤道湧昇域と西部の暖水域のそれぞれに適用する2つの式があり、赤道湧昇域と暖水域の区別は、海面塩分で行っています。
大気の二酸化炭素分圧は、米国海洋大気庁地球システム調査研究所地球監視部(NOAA/GMD)がクリスマス島(北緯1度42分、西経157度10分)で観測した大気中の二酸化炭素濃度月平均値、また海面気圧の解析値から求めています。大気中の二酸化炭素濃度のない各月は、内外挿で推定した濃度を用いています。
気象庁では、北西太平洋亜熱帯域における大気−海洋間の二酸化炭素交換量の月ごとの見積もりを東経165度に沿った北西太平洋の海洋観測を開始した1996年以降の期間について行っています。対象海域は、北緯11〜30度、東経130〜165度です。
北西太平洋亜熱帯域では、表面海水の二酸化炭素分圧の時間変動と水温のそれによい相関がある(Inoue et al.,1995)ことから、経験的内挿法によって表面海水の二酸化炭素分圧を求めることができます(村田ほか,1996)。表面海水の二酸化炭素分圧は、気象庁海洋気象観測船「凌風丸」および「啓風丸」による観測値を用いています。
大気の二酸化炭素分圧は、気象庁が南鳥島(北緯24度17分、東経153度59分)で観測した二酸化炭素濃度と海面気圧の解析値を用いて求めています。大気中の二酸化炭素濃度のない各月は、内外挿で推定した濃度を用いています。
気象庁では、日々の天候や海洋の状態について、数値モデルの改善を図るなどして、より精度の高い海面水温や風速などの解析値を求めています。また、過去の状態についても最新の数値モデルで再計算し、長期にわたる気候変動や海洋変動の監視精度を高めています。使用するデータにつきましては、データの履歴を参照ください。
大気−海洋間の二酸化炭素交換量については、長期変動をより詳しく正確に捕らえるために、最新の数値モデルで得られた海面水温や風速などの解析値を用いて、過去データを再計算する場合があります。また、海水中の二酸化炭素濃度データについて、世界の濃度基準の変更にあわせて再計算したり、新たに品質的に問題があると判断された一部のデータを削除するなど、品質の向上に努めています。大気中の二酸化炭素濃度データについても、世界の濃度基準の変更で再計算されるなど更新される場合があります。このため、解析結果は最新のものを参照してください。
二酸化炭素分圧 WMO X2005スケール濃度標準
海面水温 気象庁全球日別海面水温解析値(緯度 0.25゜×経度 0.25゜)
海面塩分 気象庁海洋データ同化システム(MOVE/MRI.COM-G)解析値
風速および海面気圧 気象庁と(財)電力中央研究所との共同による長期再解析値(JRA-25、1992年〜2004年)、JRA-25と同じシステムでの気候解析を現在に延長した気象庁気候データ同化システム(JCDAS、2005年〜)解析値
海面塩分 気象庁海洋データ同化システム(ODAS)解析値
二酸化炭素分圧 NOAA/CMDL 2002スケール濃度標準
海面水温 気象庁北西太平洋旬平均海面水温解析値(緯度 1゜×経度 1゜)
風速 気象庁全球客観解析値
なお、海面塩分と海面気圧は近似値(それぞれ35、1気圧)を用いました。これらの近似値を用いても、大気−海洋間の二酸化炭素交換量に大きな差異が生じないためです。