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世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)は、1989年、それまでの「全球オゾン観測システム」と「大気バックグランド汚染観測網」の二つの観測網を統合、発展させて、「全球大気監視(GAW:Global Atmosphere Watch)計画」を発足させた。現在、各国の気象機関や研究機関はこのGAW計画に参加し、オゾン、二酸化炭素などの温室効果ガス、降水・降下じん化学成分、エーロゾル、日射などについての国際的な観測網を維持している。
GAW計画の目的は、大気の化学組成や物理的特性の変化状況に関する観測データやそのほかの科学的情報を提供することで、大気の変化を早期に検出し、将来の地球環境の予測の支援を行うことである。GAW計画の実施体制や各センターの役割を図A1.4および表A1.2に示す。また観測点の分布を図A1.5に示す。
| 組織名 | 役割 |
|---|---|
| 科学助言部会 | 観測要素毎にGAW活動を組織、調整 |
| 中央較正施設 | WMO世界基準の維持管理 |
| 世界較正センター | 観測スケールの統一 |
| 品質保証科学センター | 観測手法の標準化や観測精度の向上 |
気象庁は、GAW計画の中で、我が国における観測所を維持するとともに、国際センターとして、温室効果ガス世界資料センター(WDCGG: World Data Center for Greenhouse Gases)を、またアジア・南西太平洋地区の品質保証科学センター(QA/SAC: Quality Assurance / Science Activity Center)および世界較正センター(WCC: World Calibration Center)を運営し、国際的な貢献を果たしている。また、科学助言部会の委員として専門家の派遣を行っている。
品質保証科学センターは、大気中の微量成分等の観測に必要な測定精度を維持するために、各観測所の観測データの品質の確保・向上を支援する役割を果たす。現在、ドイツ、スイス、米国、日本(気象庁)に設置されており、日本は、アジア・南西太平洋地区の二酸化炭素、メタン、オゾン全量を担当している。
具体的な活動としては、測定の技術・方法やデータ品質管理手順などの設定・普及、観測技術などに関する研修・セミナーの開催、観測施設を訪問しての調査や技術支援などがある。気象庁がこれまで実施した活動を表A1.3に示す。
| (1)現地調査対象国 | ||
|---|---|---|
| 韓国 | 平成11年11月 | 温室効果ガス |
| 中国 | 平成11年11月 | 温室効果ガス |
| オーストラリア | 平成13年1月 | 温室効果ガス |
| インドネシア | 平成14年1月 | 温室効果ガス |
| マレーシア | 平成15年2月 | 温室効果ガス |
| フィリピン | 平成16年3月 | オゾン全量 |
| 韓国 | 平成16年11月 | オゾン全量 |
| (2)専門家受け入れ | ||
| キルギス | 平成12年1-2月 | 温室効果ガス |
| 韓国 | 平成12年6月 | 温室効果ガス |
| 中国 | 平成13年2-3月 | 温室効果ガス |
| 中国 | 平成15年3月 | オゾン全量 |
| 韓国 | 平成15年10月 | 温室効果ガス |
| 韓国 | 平成16年10月 | 温室効果ガス |
世界較正センターは、観測項目ごとに定められているGAW計画における世界基準に沿って、世界各地のGAW観測所での観測に使用されている観測基準を統一するための業務を行っている。
気象庁は、アジア・南西太平洋地区におけるメタン観測、およびアジア地区におけるドブソンオゾン分光光度計によるオゾン全量観測の較正センターを担当している。
メタン観測の較正センターとしては、@地区内の観測機関が有するメタン標準ガスの較正やA比較用のメタン標準ガスを地区内の観測機関に送付し、各機関の測定値を相互比較するなどの活動を行っている。メタン標準ガスの相互比較については、2001年にアジア地区(中国、韓国)、2003年に南西太平洋地区(オーストラリア、ニュージーランド)、2004年に日本国内に対して実施した。
ドブソンオゾン分光光度計の較正センターとしては、2001年に気象庁の保有するアジア地区準器を米国海洋大気庁気候監視診断研究所(NOAA/CMDL)の保有する世界準器により較正した。また、2003年3月には、このアジア地区準器を用いてアジア地区各国の準器を対象とした国際相互比較を実施した(写真A1.2)。
気象庁は、1990年からWMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の運営を担当している。また、WDCGGでは、2002年10月から、それまでノルウェーが担当してきた地上オゾンも担当している。
GAW計画においては、WDCGGのほかに、オゾン・紫外線(カナダ)、降水化学(米国)、放射(ロシア)、エーロゾル(イタリア)の世界資料センターが設置されている。
WDCGGは、図A1.6に示すように、@世界各地の温室効果ガスおよび関連ガスの観測データを収集すること、A収集した観測データを保存すること、B保存した観測データをより利用しやすくするためのプロダクトを作成すること、C観測データやプロダクトを利用者へ提供することなどを行い、温室効果ガスの国際的データ交換および利用の拠点となっている。
WDCGGに集められた観測データおよび関連する情報は、関連機関にCD-ROM(年1回)で配布されるほか、インターネット上のウェブサイトをつうじて誰でも使える形で利用者に提供されている。また、集められたデータをもとに世界の温室効果ガスの状況について解析した結果をまとめたWMOデータサマリーは、年1回刊行され、印刷物として関連機関に配布されるほか、インターネットをつうじても閲覧できるようになっている。
図A1.7にWDCGGにこれまで報告された要素別の観測地点数の推移を示す。1999年にWDCGGがウェブサイト(http://gaw.kishou.go.jp/wdcgg_j.html)を開設して以来、電子メールなどインターネットを利用した報告、データ取得が飛躍的に増加していることがわかる。
WDCGGが有効に活動するためには、収集する観測データが統一した基準のもとで精度よく得られたものである必要がある。気象庁はWDCGGの活動をつうじて、QA/SACやWCCをはじめとするほかの国際センターとの協力を強化し、観測データの品質向上や情報交換の促進を図り、温室効果ガス濃度増加抑制やオゾン層保護などへの国際的な貢献をさらに進めていく。
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