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日本の南を流れる黒潮は太平洋熱帯域の暖かい海水を日本の太平洋岸に沿って本州東方に,千島列島の太平洋側を南西向きに流れる親潮はベーリング海やオホーツク海の冷水を日本の東方にもたらし,ともに熱の輸送を通じて日本の気候に重要な役割を果たしています。また,これらの海流はその流路や流量などの変動も大きく,水産業などに大きな影響を与えています。
なかでも,黒潮は本州南方でその流路を大きく変えることが知られています。図1は,その典型的なニつのタイプ(直進型と大蛇行型)を示しており,それぞれ数年間以上継続する場合もあります。図2は,黒潮が大蛇行して流れているかの目安として,東海沖における黒潮が最も南下した緯度の時間変化を示しています。陰影部が大蛇行の期間に対応します。
黒潮流路の変化は漁場の位置や魚種を変え,船舶の安全で経済的な航路の選定にも影響を及ぼします。また,1979年には,大蛇行した黒潮の影響で沿岸部の海流が大きく変化したため,東海地方の港湾では潮位が平常より30〜40cm高くなり,浸水などの被害が発生しました。
図3は,親潮がもたらした冷水(日本の東方における深さ100mの水温が5℃以下の海水)の面積の時間変化を示していますが,1970年代半ば以降,日本の東方における冷水面積が広くなっていることが分かります。1984年冬から春にかけては,冷水が房総半島沖まで南下し,カレイなど磯魚の不漁,アワビの岸への打ち上げをもたらすなど,社会的にも関心を集めました。また,親潮による冷水が東北地方の夏の天候に影響を与えている可能性が以前から指摘されています。